働き盛りに多く、日本人が
最も悩まされている頭痛
日本人の頭痛の中で最も多いのがこの「緊張型頭痛」です。15歳以上の日本人の、およそ5人に1人が悩んでいる"お馴染み"の頭痛といえます。
「緊張型頭痛」とは、頭の周りや首の後ろから肩、背中にかけての筋肉が緊張するために起こる頭痛です。
痛みは後頭部を中心に頭の両側や首筋にかけて起こり、「頭を孫悟空の輪っかで締め付けられているよう」とか、「頭に大きな荷重がかかっているような感じ」などと表現されます。
痛み以外にも、体がフワフワするようなめまい感を伴うこともあります。
「片頭痛」と違うのは、多くの場合、ズキン、ズキンとした拍動性の痛みではないこと、また、頭を動かしても痛みが激しくなることはない点です。吐いたりすることもありません。そのため、能率は落ちるものの、がまんすれば何とか仕事や家事を続けることが可能で、日常生活に大きな支障をきたす「片頭痛」とはこのあたりが大きく異なります。
「緊張型頭痛」は、男性より女性のほうが1.5倍程度多い割合で生じ、ストレスが大きくかかわっているため、やはり働き盛りの年齢に患者さんが最も多いのですが、全体的にみると幅広い年齢層に分布しています。
「緊張型頭痛」は、男性より女性のほうが1.5倍程度多い割合で生じ、ストレスが大きくかかわっているため、やはり働き盛りの年齢に患者さんが最も多いのですが、全体的にみると幅広い年齢層に分布しています。 このように「緊張型頭痛」は、どんな人にも起こりうる頭痛といえそうですが、家族内発生率を調べた研究によると、「緊張型頭痛」にも遺伝的な素因が関係あるらしいということがわかっています。ただし、それを証明する特定の遺伝子はみつかっていません。
いちばんの原因は
心身のストレス!
「緊張型頭痛」の大きな原因は心身のストレスです。たとえば、机に向かってパソコン作業をしたりデスクワークをするなど、長時間うつ向いた姿勢を続けると、首や肩の筋肉、頭の筋肉などが緊張して血流が悪くなります。その結果、筋肉から老廃物が出てこれが神経を刺激して痛みが生じるのです。ショルダーバッグを肩にかけるというような特定の姿勢で発症することもあります。精神的ストレスを受けた場合も同じです。
ただし、従来いわれてきたこのようなこと以外にも原因があるのではないかと考えられています。普通なら痛みを感じない程度の圧迫によって痛みが誘発される部位のことを「トリガーポイント」といい、このポイントを圧迫すると関連痛として頭痛が誘発されることがわかっています。
ただし、従来いわれてきたこのようなこと以外にも原因があるのではないかと考えられています。普通なら痛みを感じない程度の圧迫によって痛みが誘発される部位のことを「トリガーポイント」といい、このポイントを圧迫すると関連痛として頭痛が誘発されることがわかっています。「緊張型頭痛」の人を丹念に触診すると、頭の周囲の筋肉にトリガーポイントが確認できるため、この部分の筋肉の神経が何らかの理由で刺激されることが、頭痛の引き金になっているのではないかと考えられています。
片頭痛に似た症状が
みられることも
「反復性緊張型頭痛」は痛みも軽く、かつ短時間で治るので、ほとんどの人は医療機関を受診しません。
一方「慢性緊張型頭痛」は、ほぼ連日頭痛が持続するものです。「緊張型頭痛」が10年以上続いて、次第に頻度や強度が増してくるというのが典型的症状で、うつ病などの心の病を併発していることもあります。
「慢性緊張型頭痛」では、中等度くらいの痛みを訴える患者さんが多いのですが、中には体を動かすと頭痛がひどくなったり、ズキン、ズキンと拍動性の痛みを感じたり、光や音に過敏になるといった、「片頭痛」に似た症状を訴える人もいます。ここまでくると「片頭痛」と非常にまぎらわしくなりますので、なるべく専門医の診断を受けたいものです。
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)
や群発頭痛の可能性もあります。
症状一覧
- ・目をえぐられるような激しい頭痛
- ・必ず頭の片側に起こる
- ・1〜2ヶ月の間、毎日痛みがあらわれる
- ・痛みがあらわれるのは15〜180分
- ・入眠時や早朝に頭痛がおこる
- ・頭痛が月に15日以上ある
- ・頭痛薬を月に10回以上飲んでいる
- ・薬を飲んでも頭痛が強くなってしまう
- ・頭痛薬が効かなくなってきた
人によっては当てはまらない場合もあります。
頭痛には、重大な病気が隠れている場合もあります。
※今までにないような激しい頭痛、高熱や手足のマヒ・しびれを伴う頭痛、日を追うごとに悪化する場合など、いつもと違うと感じたら、すぐに専門医を受診してください。
監修
医学博士/東京女子医科大学 脳神経外科 頭痛外来 客員教授/
獨協医科大学 脳神経内科学 臨床准教授(兼任)
清水俊彦(しみずとしひこ)医師