教えて!肝斑の話

肝斑を発症している人案外多いけれど、
それが肝斑だとわからず悩んでいるひとが
いっぱい

肝斑はまだまだなじみが薄いしみですよね。でも「しみ」といえば肝斑のこと—いわば「肝斑は元祖しみ」と考えている皮膚科医も多く、肝斑で病院を訪れる人も少なくありません。外来では、肝斑であることを知らずに悩んでいるという方を多くお見受けします。特に肝斑は左右対称に広がるため、女性に与える精神的ダメージがとても大きいといった特徴があります。ですが、これからは肝斑について正しい知識を身につけていただき、もう肝斑に悩まないでほしいと思います。
残念ながら、しみで皮膚科医に行ってみようと考えてくださる方はまだまだ少ないのが現状のようです。ですが、皮膚科は皮膚の病気を診るだけでなく、健康で美しい肌を維持するための役割も担っているのです。しみで気軽に皮膚科に来ていただけるようになればいいな…と考えております。

肝斑は内服薬で改善できるしみです

肝斑が、他のしみと違うところは、内服薬で治療の成果が表れること。肝斑と診断したら、トラネキサム酸を処方して治していきます。もし肝斑が疑わしいとかしみに悩んでいるのなら、治療を始めることをおすすめします。
しみを治すといっても、種類によって治療法はさまざまですし、またその人のしみのタイプなどによって、改善したときの実感も異なります。行動を起こすことが、肝斑治療の大事なステップです。皮膚科専門医で診断してもらったり、また薬局で買えるトラネキサム酸配合の内服薬もあります。

肝斑が改善した患者さんの実感

  • コンシーラーがいらなくなった!

  • ファンデーションの減りが遅くなった!

  • 顔色全体が明るくなった!

自己判断してみましょう。肝斑かどうかまずはチェック。

顔に広がるしみの場合、みなさんが自分でしみの種類を見分けるのも、実はそんなに難しくありません。あるリビング紙でしみのイラストが掲載されたことがありましたが、その絵を見て、肝斑を自覚して受診された方もいました。「これだ!」と思った人が結構多かったのです。ご自分のしみが、ほほ骨に沿って左右対称にあるかなど、見分け方にはポイントがあります。鏡を見てチェックをしてみましょう。

肝斑症状を見る

肝斑があるかないかが治療選択のひとつのポイント

しみにはいろいろなケースがあり、肝斑と日光黒子(老人性色素斑)を併発している人も多くいます。たとえば日光黒子とそばかすは治療法がだいたい同じですが、肝斑は他のしみと治療法が異なります。だから、皮膚科医は診断のとき、どんなしみか、併発があるかなどをしっかり把握する必要があるのです。
肌の刺激に影響される肝斑は、レーザー治療で、かえって悪化させてしまう場合もありますので、複数のしみがあれば、まず肝斑から治していくのがふさわしいと考えています。

しみの治療は、積極的にアクションをおこすことから

しみは、痛くもかゆくもありませんが、しみがあることで顔のその部分が常に気になってしまったり、堂々と人と向かい合えなかったり、女性にとって楽しいものである化粧の時間が毎日の憂鬱な時間になったり、年をとったかと落ち込んだり…女性の気持ちに与える影響は大変大きいものです。
特に、発症しているしみが肝斑の患者さんの場合、範囲が広かったり、急に広がったりするため、受診時は、気持ちがふさいでいたり、化粧で隠しきれなくて途方にくれていたり、メンタル面に大きく影響を与えているケースも多いです。
しかし、皮膚科で受診して、しみを判断してもらい、原因・予防法が明確になると、気持ちが楽になったり、自分のしみに合った治療法を知ることにもなります。まずは行動をおこすことから。

しみの診察は、「すっぴん」になって素肌をみせてもらうことから始めます

しみの診察は素肌を見ないと始まりません。受診されるときは、メイクを落としてから来ていただくと、診察がスムーズになります。または治療前に、メイクを落としていただいてから、診察させていただいています。
そして、しみの形や色、顔のどの部分にできているかなどを観察します。また、「屋外で活動するなど、紫外線を浴びる機会は多いですか?」「いつから気になりはじめましたか?」など、その発症状況についての情報も聞かせてもらいます。
こちらから見て気にならない症状でも、患者さん自身は強く気にされている場合や、今は紫外線対策が万全、と言いながら、深く聞けば学生時代は運動部で日焼けしていたなど…会話からわかる事実もあります。

スキントーン・カラースケールで、しみの改善効果がとてもわかりやすくなりました

しみの改善は、医師側が効果を認めたときも、患者さん自身が効果を実感したときも、効果の判断がお互いの主観的なものになる部分もありました。
しかし、「スキントーン・カラースケール」という、しみの明度や色相をはかれるものさしが登場したことで、客観的に効果を数値化し、「結果がこれだけよくなりましたね」と同じ基準で患者さんと効果を共有できることになったのです。
「スキントーン・カラースケール」は、治療前に患者さんの肌の色やしみの色をはかっておき、治療開始後、それと比較してご説明します。しみの色が薄くなっていく過程がはっきりと確認できるようになったので、軽度であっても、どの患者さんもしっかり効果を実感でき、より治療に満足してくださるようになりました。

お話を伺ったのは…

近畿大学医学部附属病院 美容皮膚科レーザーチームリーダー

山本 晴代先生

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本皮膚科学会美容皮膚科・レーザー指導専門医
日本美容皮膚科学会 代議員
日本レーザー医学会指導医・専門医
日本抗加齢医学会専門医