予防

生活習慣の見直し

生活習慣の見直し

定期的にメインテナンスに通っていても、歯磨きをしっかりしていても、歯周病になりやすい方がいます。

歯周病のなりやすさには「免疫」が深く関わっているのです。

今回の記事では、免疫力を上げて歯周病を予防するだけでなく、健康な身体をも手に入れることができる具体的な方法について解説していきます。

1.歯磨き不足だけではない、歯周病の原因

歯周病の危険な要因は大きく分けて、3つあります。

歯周病発症の要因
  1. 1
    細菌の要因→歯垢、歯石
  2. 2
    生体の要因→体の状態(持病、遺伝など)
  3. 3
    環境の要因→歯周病が起こりやすくなる生活習慣

歯周病を予防するうえで、一番大切なことは日々の歯磨きで汚れを落とすことですが、プラスして日々の生活習慣を整えることも重要になります。

疲れているときに歯ぐきが腫れたり、出血したりすることがあります。これは、体の免疫が下がり、お口の中で歯周病菌の力が強まるために起こります。
このように、歯周病は全身の状態と深く関わっています。規則正しい生活習慣をおくることは、体の免疫を下げないためにも大切になります。

2.免疫とは?

私たちの体に備わっている免疫システムは、外から侵入した細菌や体内で発生したガン細胞を退治してくれる役割を担っています。しかし、この免疫力が弱まると体は細菌と戦う力がなくなります。よって、体調を崩したり、病気にかかったりしやすくなります。

3.歯周病と免疫の関係

お口の中には300種類以上もの菌たちがバランスをとり、共生しあっています。しかし、体の免疫システムが弱まるとお口の中の細菌のバランスが崩れはじめ、歯周病菌が優位になります。優位になり力が強まった歯周病菌は、歯を支える骨(歯槽骨)をどんどん破壊していきます。
また、免疫機能は加齢とともに低下します。歯周病発症者は30~40代から増加していきますので、歯周病予防には歯磨きだけでなく、体の免疫機能を高めお口の中の細菌バランスを維持する必要があるのです。

4.免疫力を上げる方法

体に備わる免疫機能は高めることができます。免疫力が上がれば、歯周病やガンなどの病気を予防でき、体調も整います。そのためにも、正しい生活習慣を身につけましょう。以下のポイントに気をつけてみてください。

  1. 1

    栄養バランス

    栄養バランス

    免疫の7割は腸内でつくられるといわれます。
    よって免疫力をあげるには、食事に気を配り腸内環境を整えることが大切です。
    免疫力を上げる栄養素はビタミンB,C,A,E、ミネラル、タンパク質などがあります。

    【参考食材】

    1. ビタミンB→卵、納豆、乳製品、レバー
    2. ビタミンC→フルーツ、野菜
    3. ビタミンA→緑黄色野菜、チーズ
    4. ビタミンE→ナッツ類、かぼちゃ、アボカド
    5. ミネラル→海藻類
    6. タンパク質→肉、魚、卵、乳製品

    以上の栄養素をバランスよく摂取しましょう。
    また食事の注意点として、糖質(白米・パン・麺)の過剰摂取に気を付けましょう。
    血糖値の上昇は糖尿病につながります。糖尿病は、歯周病を悪化させるうえ、その他身体の病気の原因にもなります。

  2. 2

    アルコール

    アルコール

    過度の飲酒は、肝臓機能を低下させ免疫力の低下をまねきます。
    肝臓は”沈黙の臓器”と言われており大切な役割を担っているにもかかわらず、病気の早期発見が難しい臓器です。
    厚生労働省では、1日平均純アルコールで20グラム程度(ビールでは500ml缶1本、ワインであればグラス2杯程度)が摂取指標とされています。
    節度ある飲酒を心がけましょう。

  3. 3

    タバコ

    タバコ

    タバコの有害成分は口に入ると、粘膜や歯ぐきから吸収されます。そして、歯ぐきの血流が悪くなり酸素が行き届かなくなります。そうすると、歯周ポケットの中で細菌が繁殖し、歯ぐきの状態を悪化させます。よって、せっかく歯周病の治療をしても予後が悪くなります。
    歯ぐきの色もくすみ、ヤニが付着するので、見た目も気になるようになります。
    また、タバコを吸うと交感神経を刺激し血糖値を上昇させるうえに、インスリンの働きを妨げる作用があります。そのため、糖尿病の発症率があがります。

    喫煙は歯周病やその他病気を発生させる強力な危険因子です。

  4. 4

    睡眠

    睡眠

    質の良い睡眠をとることが重要になります。睡眠中は、副交感神経が優位になり心も体もリラックス状態になるので、免疫細胞が活発になります。睡眠の質が上がり、日中の眠気もなくなれば仕事や勉強に集中できるので、一石二鳥です。

    【質の良い睡眠をとるために気を付けること】

    1. 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
    2. 朝日を浴びる
    3. 寝る前にテレビやスマートフォンをみない
    4. 寝る直前に食べない
    5. お風呂は寝る2~3時間前にすませる

    また、睡眠不足になると血糖値のコントロールが悪くなります。そのため、糖尿病のリスクが高くなり、糖尿病と関係の深い歯周病が悪化します。上記のことに気を付けて、最低6~7時間の睡眠時間を確保しましょう。

  5. 5

    よく笑う

    免疫力を上げる一番簡単な方法です。
    笑うことで、副交感神経が優位になり体がリラックスします。また、ストレス解消の効果もあります。ストレスは免疫力を下げます。

生活の質が上がれば日々のパフォーマンスもあがります。
歯周病は生活習慣病の一種です。日々の生活習慣を見直して、全身とお口の健康を守っていきましょう。

Drコメント

  • 中原 維浩

    中原 維浩歯科医師

    免疫力の根源は腸内細菌です。
    その腸内細菌に毎日元気に働いてもらうために、
    近年の歯科医院では生活習慣について力を入れて指導しております。
    健康なうちは、得てして健康を意識しないものですが、
    何かのきっかけで腸内細菌叢が崩れた時に様々な影響が出ることもわかっております。
    栄養×医学がかなり密接に再確認されています。「医食同源」を意識しましょう。

  • 井上 和

    井上 和歯科衛生士

    生活習慣を健全に保つために重要なことの一つが食習慣です。
    日本の朝食のような献立を中心にすると良いです。
    適度な炭水化物。味噌、漬物、納豆などの発酵性食品。
    焼き魚のタンパク質。おひたしなどの野菜。素晴らしいバランスだと思いませんか?
    大切なのはよく噛むことです。
    食べ物を消化しやすく整え、胃腸に送る唾液のパワーはすごい!しっかり噛みましょう。

  • 青木 薫

    青木 薫歯科衛生士

    歯周病は、実は生活習慣病のひとつといわれているほどなのです。
    歯科医院で歯周病の検査をするときに、喫煙はしていないか、糖尿病などの有無や、服用している薬、食生活などをアレコレ聞かれるのはそのためです。
    一生懸命、歯を磨いているのに歯肉が良くならない方は、生活習慣を振り返ってみましょう。

同じカテゴリの記事