予防

セルフケア(歯ブラシ、補助清掃用具)

セルフケア(歯ブラシ、補助清掃用具)

現在、親の予防意識が向上して子供のむし歯が減っている一方で、高齢化の影響もあり「歯周病」が歯を失う一番の原因となっています。
歯周病を予防するために、まずは毎日のセルフケア(歯を磨くこと)が大切になります。

皆さんは、もちろん毎日歯磨きをしていると思います。
磨くからにはしっかりと歯垢(プラーク)を落とさなければなりません。

なぜなら、歯垢は悪さをする細菌の塊だからです。

それでは、歯垢を残さないためのセルフケアのポイントについてまとめていきます。

1.歯磨きの基本的なポイント3つ

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    小刻みに動かす

    1~2本ずつを目安に、小刻みにブラシを動かします。
    最低でも、20~30回は往復させて汚れを擦りとってください。
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    ブラッシング圧

    ブラシを歯にあてたとき、毛先が開かない程度の優しい力で磨きましょう。
    力の入れすぎは、歯や歯ぐきを傷つけたり、歯ブラシが傷んでしまう原因となります。
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    磨く順番を決める

    順番を決めて磨くメリットは、部分的な磨き残しを防ぐことができることです。
    磨き残しやすい、下の奥歯の内側や上の奥歯の外側から磨き始めるのがオススメです。

2.歯周病予防のポイントは毛先の向き

歯垢(プラーク)は歯周ポケットに溜まります。
つまり、ポイントは「ブラシの毛先を歯ぐきの方向へ向ける」ことです。
そうすることで、毛先が歯周ポケットの中に入り汚れを落とせます。

歯ぐきをマッサージするイメージで、優しい力で磨いてください。

3.歯ブラシの選び方

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    毛の硬さ

    主に『やわらかめ』『ふつう』『かため』の3種類があります。

    歯ぐきが健康な方にオススメなのは「ふつう」
    歯ぐきが出血する方にオススメなのは「やわらかめ」になります。

    注意点は、やわらかすぎると汚れを取り残す可能性が高まります。
    そして、かためのものは歯や歯ぐきを傷つけるおそれがあるため、少し取り扱いにくいです。
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    毛の切り口

    主に『フラット』『先細』の2種類があります。

    フラット、先細

    フラットタイプのブラシは、横から見たときに平らになっているものです。
    毛の高さがそろっているので、均一に力をかけることが出来ます。歯の側面や咬む面の汚れを落とすのに適しています。

    先細タイプのブラシは、横から見たときにジグザグしています。
    短い毛と長い毛が生えているので、汚れが残りやすい歯間の部分が磨きやすいです。
    また、歯周ポケット内にいれこみやすいので腫れている歯ぐきや出血のある歯ぐきへの使用が適しています。

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    ブラシヘッドの大きさ

    主に『大きめ』『小さめ』の2種類があります。

    大きめのヘッドは、ブラシの面積が広いので、より多くの歯の面にあてやすいことが特徴です。
    デメリットは、大きいので奥歯に入れにくいことです。
    小刻みに歯ブラシを動かすことが苦手な方や、急いでいる時の歯磨きにオススメです。

    小さめのヘッドは、小回りが利くので奥歯まで磨きやすいのが特徴です。
    特に、お口の小さいお子様や女性の方にオススメです。

4.歯ブラシの交換時期

歯ブラシは使用回数が増えるにつれ、毛先が開いてきます。
毛先の開いた歯ブラシでは歯垢除去率が40%ダウンします。
歯ブラシ交換のアドバイス | 一般社団法人 岩手県歯科医師会

衛生面の観点からも『1か月』ごとの交換がオススメです。

5.補助清掃用具

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    なぜ必要なのか

    補助清掃用具とは、『フロス』『歯間ブラシ』『タフトブラシ』のことを言います。
    一般的に歯ブラシで落とせる汚れは60%といわれています。
    つまり、歯ブラシでは落としきれなかった汚れを、補助清掃用具で落とす必要があるのです。
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    使い方と使用する部位

    フロス

    フロス

    歯と歯の間の清掃に使用します。歯間の歯垢は、フロスを使用しなければ除去できません。
    ポイントは、歯に沿わせて使用することと、歯周ポケットに優しくいれてポケット内の汚れもかきだすように使用して下さい。
    歯間にいれるとき、前後にスライドさせるように動かすといれやすいです。

    持ち手がついたタイプと、手に巻いて使用するタイプがあります。
    初めて使用する方は、持ち手のついたタイプがオススメです。

    基本的に、一度使用したフロスは捨てて下さい。

    歯間ブラシ

    歯間ブラシ

    歯と歯の間にできた隙間の清掃に適しています。

    入れる場所・入れ方のイラスト

    使い方は、歯間の隙間に優しくいれ何回か前後に往復させます。
    ポイントは、隙間の大きさに適したサイズの歯間ブラシを使用することです。
    小さすぎるものは、歯間にブラシが当たらず汚れが落ちません。
    大きすぎるものは、歯ぐきを傷つける恐れがあります。
    歯間の隙間の大きさは人それぞれ異なり、その歯によっても異なります。
    歯科医院で自分のお口に合ったサイズの歯間ブラシのサイズを教えてもらうことがオススメです。

    毛の部分がゴムになったタイプと、ワイヤーにブラシがついたタイプがあります。
    一般的に、ワイヤータイプのほうが汚れの除去効果が高いです。

    使用後は、水で洗い乾燥させます。何度か繰り返し使用できます。

    タフトブラシ

    タフトブラシ

    歯周病が進んで歯周ポケットが深くなった部分、奥歯や歯列不正のため磨きにくい部分への使用に適しています。

    使い方は、毛先を歯周ポケットに入れ込むようにあてて横に小刻みに動かします。
    ポケット内から汚れをかきだすイメージで行って下さい。

    ブラシの毛先が斜め45度で歯肉にあたっているイラスト

6.まとめ

むし歯や歯周病を予防するうえで、細かい部分のお掃除はとても重要です。
様々な種類がありますので、自分のお口に合う清掃用具が分からない方は歯医者さんで聞いてみましょう。

Drコメント

  • 中原 維浩

    中原 維浩歯科医師

    今、国家としてもセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が制定されるほど、
    軽度な身体の不調は自身で治すことを重要視されるようになりました。
    特にむし歯や歯周病などは近年の研究によってかなり原因がわかってきただけに予防が可能な病気です。
    生涯、ご自身の歯で噛めるように自分に合うお気に入りのケアグッズを見つけて楽しんでケアしてください。

  • 井上 和

    井上 和歯科衛生士

    歯周病は細菌の塊であるプラークの蓄積によって起こる病気ですから、
    毎日のブラッシングによるプラーク除去が歯周病予防、歯周病治療の基本です。
    磨き残しを防ぐため、一番奥の歯から反対側の一番奥の歯までを一方通行で、
    1分かけて磨くことをお勧めしています。
    外側1分、内側1分、上下で4分程の時間をかけて磨きましょう。

  • 青木 薫

    青木 薫歯科衛生士

    歯ブラシを選ぶ基準は何ですか? ご家族が買ってきてくれたり、価格や色などで決める場合もあると思います。
    しかし、歯ブラシや歯間ブラシは「好み」ではなく、
    「歯垢(プラーク)がきちんと落ちているか」で選びます。歯垢の付着状況は人それぞれ。
    自分にあった歯ブラシや歯間ブラシはどんなものなのか、歯科衛生士にご相談ください。

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