予防
定期メンテナンス
歯の資産価値について考えたことはありますか?
価値観は人それぞれですが、1000万円以上の価値があると感じます。
理由は、歯を失った箇所にインプラントを入れる場合、インプラントの相場は1本約50万円です。健全な歯の本数は28本なので、28本×50万円という考えです。
日本人が歯を失う原因の1位が『歯周病』2位が『むし歯』です。
若いうちはむし歯で失うことが多いですが、年齢が上がるにつれ歯周病で歯を失う方が増えます。後期高齢者の平均的な残存歯数は約16本です。この数字をみて、どう感じますか?
むし歯や歯周病にならないためにも、日々の歯ブラシがとても重要になります。ですが、歯ブラシで落とせる汚れには”限界”があるのです。
そこで必要になるのが、歯科医院でのメインテナンス(クリーニング)です。
歯の喪失の原因 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
1.なぜ歯科医院でのメインテナンスが必要なのか
結論から述べますと、歯ブラシで落とせない汚れ(歯石やバイオフィルム)を除去するためです。
歯周病はバイオフィルム感染症ともいわれます。バイオフィルムとは、お口の中の細菌が集合して薄い膜状になったものです。バイオフィルムはとても厄介で、歯ブラシでは落とせないうえ、抗菌剤も効きにくい性質をもっています。
そのためバイオフィルムを除去するためには、機械的に破壊する必要があります。
バイオフィルム | e-ヘルスネット(厚生労働省)
2.メインテナンスはどんなことをするのか
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歯周ポケットの検査
歯の周りには、目では見えない溝(歯周ポケット)が存在します。ポケットの数値と出血の有無を、専用の器具を用いて図ることで歯周病の状態を知ることができます。
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専用の機械を用いたクリーニング(PMTC)
一般的には超音波の機械を用いて、歯石や細菌の膜(バイオフィルム)を破壊・除去します。
以上の2つがあげられます。所要時間は内容により変わりますが、30分~1時間です。
歯ぐきの炎症がなければ、ほとんど痛みも感じません。
またプラスして、歯科医院でフッ素塗布を行うことは歯質強化やむし歯、歯周病予防の面で有効です。毎日の歯磨きで低濃度のフッ素入りの歯磨き粉を使い、歯科医院で高濃度のフッ素を塗布することで、相乗効果を得ることができます。
3.メインテナンスに行くメリット
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むし歯・歯周病の早期発見、早期治療がおこなえる
1年に1回はレントゲンの撮影をするのがベストです。レントゲンを撮ることで、歯間に隠れたむし歯の早期発見や、歯を支える骨(歯槽骨)がどれくらい残っているのかを確認することができます。
また、歯周病は自覚症状なく進行する病気と言われます。初期の歯肉炎で気づくことができれば、クリーニングと歯ブラシを丁寧におこなうことで改善が見込めます。このように、定期的なメインテナンスで早期に対応することは、1本でも多くの歯を残すことにつながります。 - 2
歯ブラシで落とせない汚れを除去できる
歯石は名前の通り、石のように固いので歯ブラシでは落とすことが出来ません。
歯並びが悪かったり、歯磨きが上手くできていなかったりすると歯石がつきやすくなります。
歯石をそのままにしておくと、そこを土台にして歯周病菌が住みつき悪さをします。歯周病を進行させる原因の一つです。 - 3
磨き残しがある部分を知ることができる
クリーニングのプロである歯科衛生士さんに、磨けていないところや磨くときのポイントを教えてもらえます。狭くて暗いお口の中は、自分では気づきにくいことがたくさんあります。ご自身で汚れを落とせることが歯周病予防で1番重要です。歯磨きで困っていることがあればなんでも聞いてみましょう。 - 4
着色(ステイン)も落とせる
白い歯に着色がついていると目立ちます。着色を落として、白い歯で堂々と笑顔になりましょう。
4.クリーニングに通う頻度
バイオフィルムは目には見えません。そして時間とともに形成されます。
クリーニングへ通う頻度は、お口の状態などで変わってきますが、健康な方は基本的に3~4か月に1回が目安です。最低でも年に2回(半年に1度)の受診をおすすめします。
ご自身の間隔目安は、行きつけの歯科医院に聞いてみてください。
メインテナンスと定期健診はとても大切 | 一般社団法人富山市歯科医師会
5.まとめ
日本の20歳以上の歯科医院受診率は平成28年度で52.9%です。過去と比べて上がってきていますが、まだまだ高いとは言えません。歯周病は容易に発症・再発するので定期メインテナンスが必須です。
冒頭で述べたように、1000万円以上の価値ある歯を歯科医院の定期クリーニング(3000円~4000円)で守ることができるとしたら、あなたはどちらを選びますか?
また、金銭面だけでなく、お口の健康を守ることは全身の健康を守ることにもつながります。一度失った歯を元に戻すことは、現代の医療では困難です。かかりつけの歯科医院と二人三脚で大切な歯を守りましょう。
最近歯医者へ行ってなかった方は、気になるところがなくても今すぐ歯医者を予約してください。あなたのその一歩が、健康な未来をつくります。
社会保障政策の課題と展望
Drコメント
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中原 維浩歯科医師
あなたの歯医者さんのイメージはまだ「痛い時に行くところ」ですか?
現在は、エンタメ施設的に楽しめる歯科医院もたくさんありますし、
削って詰めるという時代から本当の意味で歯を守ろうとする医院が多くなってきました。
あなたのお口の中の見守りパートナーを見つけてください。
我々歯科医院は、今、お口からあなたの健康を守ることに本気です。 -
井上 和歯科衛生士
歯周治療をする人はしない人に比べ、失う歯の本数は半分になり、
それに加えてメインテナンスをすると、失う本数はさらに半分になるという研究があります。
治療はもちろん重要ですが、その後のメインテナンスもまた重要ということです。
悪いところを探すだけではなく、メインテナンスを続け、毎回「なんともないです」
と言われるよう心がけましょう。 -
青木 薫歯科衛生士
歯科医院で治療が終わったら、それがゴールではありません。
一度でもむし歯や歯周病になってしまったら、それはこれからもなる可能性があるということです。
むし歯や歯周病は、上手に予防すれば避けられる病気です。
しかし自分でメインテナンスするのはとても大変。
定期的に歯科医院へメインテナンスに通うようにしましょう。