治療
歯周病で抜歯後、どんな治療になるか
歯周病などで歯が抜けてしまった、あるいは抜かざるを得なくなってしまった。そんな時、「1本ぐらいなくなっても食事はできるし問題ない」と思っていませんか?
親知らず以外の歯が抜けてしまった場合、基本的にはもともとあった歯を代用するための治療を行わなければなりません。
歯が抜けると、その隙間に向かって横の歯や上の歯が移動して歯並びが変わったり、1本なくなった分他の歯への噛む力の負担が大きくなったりします。
そうなることによって様々なデメリットが出てきます。
具体的には
- 1隙っ歯になり見た目が気になる
- 2老けた印象になる
- 3歯が移動し、噛み合わせが悪くなる
- 3食事が今までのようにうまくとれなくなる
- 3発音に支障をきたす
などの問題が出てきます。
そうならないために、歯周病やむし歯が原因で歯を失ったらそのまま放置せず、治療をすることをオススメします。
では具体的に歯科医院でどのような治療をするのでしょうか?
大きく分けて3つの治療法がありますのでそれぞれ解説していきます。
1.義歯(入れ歯)について
歯がないところに歯の代わりとなる取り外し式の人工歯(義歯)を入れる治療です。
治療回数はケースにもよりますが2~6回が相場です。
費用は保険診療の場合、1本欠損のケースで約5000円です。自由診療の場合は1本欠損のケースで約3万円~です。
利点
- 保険が適用できる義歯もあるため比較的安価で治療が可能
- 治療期間が比較的短い(1~3ヶ月)
- 3本以上失った箇所でも対応可能
- 保険~自費のものまでバリエーションが豊富で選択が可能
欠点
- 衛生状態を保つために取り外して手入れをしなければならない
- 支えるためのバネがかかった両隣の歯への負担が大きくなる
- 全ての歯がある状態と比べて噛む力が下がるので、徐々に顔の筋肉が衰え、顔の老化を進める場合がある
- 慣れるまで何度か調整が必要な場合がある
- 失った歯の顎の骨が徐々に痩せてきて入れ歯が合わなくなる場合がある
2.ブリッジについて
失った歯の両隣の歯を削り、連結させた被せ物をはめて、失った歯を補う治療です。ブリッジは義歯のように取り外し式ではなく、固定式です。
治療回数はケースにもよりますが3~5回が相場です。
また、費用は保険診療の場合、1本欠損のケースで約2万円です。自由診療の場合は1本欠損のケースで約10万円~です。
利点
- 連結された被せ物を固定するので、安定感があり、違和感が少ない
- 保険が適用できるブリッジもあるため比較的安価で治療が可能
- 治療期間が比較的短い(1~3ヶ月)
欠点
- 支える両隣の歯を削る必要がある
- 支える歯にむし歯などがある場合は、先にその治療を行う必要がある
- 支えている歯に失った歯の分の力もかかるので支えている歯の寿命は縮まってしまう
- 義歯のように取り外しができないため、清掃が難しい
3.インプラントについて
歯を失ってしまったところに人工歯根を埋め込み、その上に人工歯をかぶせる治療です。
インプラントの治療期間は一般的に、骨が十分にある場合で約6か月、骨が少ない場合で約1年かかると言われています。
費用は医院によって異なるのと、被せ物の種類によるのですが、おおよそ1本20万円~は想定しておいた方が良いでしょう。
利点
- 構造が天然歯(自分の歯)に近いので、自然な見た目が獲得できる
- 歯を失った箇所の骨に埋め込むため、周りの歯に負担がない
- ほぼ天然歯と変わらず食事ができる
- 定期的にメインテナンスを行えば顎の骨が痩せるのを防ぎ、顔の老化を進めないで済む
- 噛み合わせが安定する
欠点
- 手術を行う必要があるため、全身疾患についても考慮しなければならない
- 保険診療が適用できないため、比較的高価な治療になる
- 顎の骨の状態により適用できない場合がある
- 治療期間が長期にわたる場合がある(1年以上)
- 手術を行うため、術後に痛みや腫れを伴う場合がある
4.まとめ
失った歯の治療をする場合、それぞれに利点・欠点があるため、どれが一番合った治療であるかは人によって異なります。何を重要視するかで選択も変わりますので、かかりつけの歯科医師と十分に話し合って決断することをオススメします。
そして、どの治療を選択したとしても、“治療したら終了“ではなく、定期的な歯科医院でのメインテナンスや、ご自身でのお手入れを行わないと長持ちしません。健康なお口であれば、美味しく楽しい食事をとったり、大きく笑ったり、人とのコミュニケーションを円滑にしたりすることができます。人生を豊かにするために、正しいオーラルケアはとても重要ですので、治療したら終わりではなく、継続して歯科医院での定期検診や正しいセルフケアを習慣化させましょう。
Drコメント
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ユースケイシカワ歯科医師
歯を失ったあと放置してしまうと、噛み合わせる歯が出てきたり隣の歯が倒れてきたりして噛み合わせが変化してきます。
同時にスペースがなくなってしまいクラウンや義歯などの治療が難しくなります。
他の歯を守るためにも放置せず、なるべく早めに相談し治療していくことが重要です。 -
角 祥太郎歯科医師
歯が抜けた後にスキマを放置してしまい噛み合わせが変わった方の治療は本当に大変なんです。
もし抜けた後のスキマを放置している方は
歯が動くコトの重大さ(けっこう動くんです)が増す前に歯科の受診を強くオススメします。
元々大人の歯が足りない人も増えていますので、
年齢問わずに歯がなくてスキマがある方は是非歯科医院で相談してください!いや、本当に。 -
岡田 真和歯科医師
残っている歯を削りたくないのか、異物感があるものは嫌なのかなど、
患者さんの気持ちの優先順位は様々です。どの治療方法もメリットデメリットがありますので、
しっかりと歯科医院で説明を受けて悩んで決めましょう。ご自身の一生使う大切なものなのですから。
歯医者さんはみなさんの味方です。気を遣わず相談してくださいね。