本調査の結果、多くの人が頭痛や生理痛でQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の低下を感じているにも関わらず、「痛み」や「鎮痛薬」を誤解している傾向があり、その対処が上手くできずに痛みを我慢していることが伺えました。
ここでは、頭痛や生理痛に悩む人たちの意識をご紹介するとともに、頭痛の専門医から痛みの弊害や対処のコツ、鎮痛薬の適正な使用方法についてもご紹介していきます。
調査結果概要
- Ⅰ.頭痛の実態
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- 約4人に1人が週1回以上頭痛に。頭痛の症状や対処法などは8割以上が正しい理解には至っていない。
- 頭痛により1日に約2時間半を損失。金額換算すると1時間あたり1,227円。
- 鎮痛薬を服用するタイミングから、痛みを我慢する傾向が顕著に。
- Ⅱ.生理痛の実態
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- 約4割の女性が“ひどい”生理痛に悩む。生理痛による損失は頭痛以上に深刻。
- 9割以上が「女性の方が痛みに強い」と回答。約8割が鎮痛薬で「本当に痛い時に効かなくなる」。
- Ⅲ.痛み全般についての意識と理解
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- 約8割が「日本人は痛みを我慢する国民性」と回答。
- 痛みを共有すれば「痛みは減ると思う」が過半数。自分は我慢し、人の痛みは理解したい傾向に。
- 痛みをやわらげてくれる身近な人は、やはり「夫/妻」がトップ。著名人は「嵐」、「チャン・グンソク」など。
- 「痛みを我慢することへの弊害」の認知度はわずか2割。
- Ⅳ.鎮痛薬に対する意識
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- 約4割が鎮痛薬に「抵抗がある」。その理由は「耐性がつきそう」、「副作用がありそう」など。
調査結果総括
日本医科大学脳神経外科 准教授 喜多村孝幸先生
※詳細の総括・アドバイスは、
ダウンロード資料をご参照ください。
日本人は、「痛い」と言うと周囲に心配をかける、評価が下がるなどの理由から、痛みを我慢しがちな国民性と言えます。しかし、日本人が特に痛みに強いという医学的根拠はなく、また、痛みを我慢することは、決して良いことではありません。
身近な痛みの一つである頭痛によって、患者さんが多くの時間と笑顔を失い、QOL(生活の質)が低下している実態が調査で示されましたが、頭痛を我慢していることは患者さんの気づかないところで心理的・身体的・社会的機能にも悪影響を及ぼし、多くの損失を与えます。その損失をとり戻すために、頭痛への正しい対処を心がけたいものです。
頭痛には必ず原因があります。その原因を把握し、対策をきちんととれば、防ぐことも可能です。それでも症状が現れる場合は、市販の鎮痛薬などを上手に使用することも大切です。
しかし、鎮痛薬の過度な服用は、別の原因の頭痛(薬物乱用頭痛)を引き起こすこともありますので、服用の効果的なタイミングや適正な頻度を知りましょう。鎮痛薬を適切に使用しても頭痛が続く場合は、頭痛専門医に早めにご相談ください。
喜多村孝幸(きたむら たかゆき)
日本医科大学脳神経外科 准教授・医学博士
- 第40回日本頭痛学会総会会長、日本脳外科学会専門医、
日本神経内視鏡学会技術認定医、 日本頭痛学会認定専門医 - 1986年日本医科大学大学院修了。1999年より日本医科大学脳神経外科准教授。
- 専門分野:神経内視鏡手術、脳脊髄液循環の研究、特発性正常圧水頭症、低髄液圧症候群・
脳脊髄液減少症、中枢性疼痛、頭痛
調査概要
実施時期:2011年12月9日〜12日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象:過去1年間に頭痛を経験した20歳〜59歳の男性:400名(各年代均等割付)
過去1年間に頭痛を経験し、かつ生理痛を経験した20歳〜59歳の女性:400名(各年代均等割付)計800名