通常、胃もたれは時間と共に解消されていきますが、早くすっきりしたいときには胃腸薬を使用するのも1つの手段です。そして、胃腸薬を使う場合は、その種類に注目する事がポイントです。「胃の運動機能を活発にする」、「消化を助ける」、「胃酸による胃粘膜の刺激から胃を守る」などを訴求したものがあり、胃もたれの原因に合わせた胃腸薬を選ぶことが大切です。
医師の診断が必要なものとして、以下の症状がサインとなるので、すぐに専門医を受診しましょう。
上記以外の胃もたれ症状は、市販薬によるセルフケアで対処が可能ですので、以下に記載する「胃の症状」チェックポイントや「胃腸薬の種類」を参考にしてください。
胃の働きが弱っている場合と、胃粘膜が荒れている場合とでは、症状が似ていても、選ぶ薬が異なります。食後に症状が出るときには「胃の働き」が、また空腹時に症状が出るときは、主に「胃粘膜の荒れ」が影響していると考えられます(原因ページの〔胃もたれはなぜ起こる?〕参照)。胃粘膜が荒れる主な原因は、胃酸により胃粘膜が刺激を受けることです。
市販薬を選んだり店頭で相談するときには、症状とその起こるタイミングを意識しましょう。
食後に症状が起こるときには、主に消化を助け、消化を高める薬を選びます。胃の運動を高めて胃液の分泌を促進するオウバク、ショウキョウ、ウイキョウなどの生薬成分を含む健胃剤や、胃液の消化機能を助けるタカヂアスターゼ、リパーゼなどの消化酵素剤がおすすめです。
また、胃のぜん動運動を調整するトリメブチンマレイン酸塩などもあります。
くすりの種類 | こんな症状に | ポイント |
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健胃剤 | 胃もたれ、食欲不振、胃部・腹部膨満感など | ショウキョウやウイキョウ、ケイヒなどの生薬成分が胃の機能を活発にする。 |
消化酵素剤 | 食べ過ぎ、消化不良、胃もたれなど | でんぷんを分解するタカヂアスターゼやビオヂアスターゼ、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素が消化吸収を促進する。 |
第一三共胃腸薬プラス細粒(3包(1包1.3g)中)
成分 | 分量 | はたらき |
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タカヂアスターゼN1 | 150mg | 広いpH域ではたらく消化酵素で、消化を助け、栄養の吸収をよくします。 |
リパーゼAP12 | 60mg | 脂肪消化酵素で胃の消化機能を助けます。 |
有胞子性乳酸菌(ラクボン原末) | 60mg | 乳酸菌の胞子を製剤化したもので、安定性がよく、服用後は腸管内で繁殖して腐敗菌などの有害細菌の増殖をおさえて、整腸作用を発揮します。 |
ケイ酸アルミン酸マグネシウム | 900mg | 持続的・速効的な制酸作用により、胸やけ、げっぷなどの過酸症状を改善します。 |
合成ヒドロタルサイト | 600mg | |
沈降炭酸カルシウム | 600mg | |
オウバク末 | 105mg | 味や香りによって味覚を刺激し、胃液や消化液の分泌を調節し、消化を助けます。 |
ケイヒ末 | 225mg | |
ショウキョウ末 | 75mg | |
チョウジ末 | 30mg | |
ウイキョウ末 | 60mg | |
l-メントール | 9mg | |
アルジオキサ | 60mg | 胃粘膜のあれやただれの修復を助けます。 |
カンゾウ末 | 150mg |
加齢による胃もたれは、消化機能と防御機能の低下が原因と考えられます。
防御機能の低下は胃のぜん動運動、消化酵素や胃酸分泌などがそれぞれ低下・減少していることが考えられ、胃粘膜を覆っている胃粘液分泌の減少も考えられます。このように原因が複合的に起こりやすいので、対処方法としても、症状が軽いうちに複合的に効果を発揮する総合胃腸薬の服用が効果的です。
胃酸と胃粘膜などのバランスが乱れたり、噴門(胃の入り口)から胃内容物が逆流することにより胃もたれを感じる場合もあります。胃酸と胃粘膜などのバランスが乱れると胃が荒れ、また胃内容物の逆流により食道が荒れるため、胸やけや胃のむかつきといった症状をともなう場合もあります。
このような症状には、胃酸分泌をコントロールするH2ブロッカーがおすすめです。
脂っこいものを食べ過ぎたりすると、朝起きたときに胃もたれを感じることもあるでしょう。コンビニエンスストアでは、医薬部外品の「健胃消化剤」が販売されています。健胃成分や消化成分を配合しているもので、手頃な価格で少量を買うことができますので、胃の不快感を緩和したいときの選択肢の一つとしておすすめです。
胃もたれや胃痛など、胃に慢性的な不快症状があるにもかかわらず、内視鏡などで検査をしても潰瘍やがんなどの異常が見つからない状態をいいます。
胃もたれのほかにも、胃痛や腹部膨満感、胸やけなどがみられることもあります。これらの症状は、胃がうまく働かない運動機能障害や、胃が胃酸などの刺激に対して敏感に反応する知覚過敏などによって起こるといわれています。そのほか、遺伝、ストレス、ピロリ菌への感染なども原因として考えられています。
病気として治療を受けることができますので、症状が続くようであれば、消化器を専門とする医療機関(病院)を受診してみるとよいでしょう。
胃もたれ対策をサポート
総合胃腸薬