睡眠コラム3

加齢に伴い睡眠時間は自然に短めになっていく

高齢になると、朝早く目覚めてしまったり、夜間にたびたび目が覚めるようになります。「思春期までの子どもは9時間ほど眠り、10代半ばぐらいになると睡眠が短くなり、20代で7時間前後に。そして高齢になると、睡眠時間そのものが5~6時間に減るといわれています。眠りも浅くなり、途中で目覚めることも多くなりますが、実はそれは自然なこと。というのは、60歳を過ぎたころから基礎代謝が低下し、眠ることにより補うべきエネルギー量も減って、必要な睡眠時間が短くなるからです。睡眠を促すホルモンであるメラトニン分泌量も、加齢とともに減少することがわかっています」(中村先生)。

不眠を訴える高齢者に多いのが「8時間は眠らないと」とこだわり、眠気がないのに早くから寝床に入り、寝付きの悪さや中途覚醒が多くなっているケースだそうです。「睡眠時間にとらわれすぎず、朝起きたときに疲れがなく日中の生活に支障がないようなら睡眠は足りていると考えてください。また、昼ご飯のあとに眠くなったときには、15~20分ほど眠るとスッキリします」(中村先生)。

ただし、加齢とともに持病の数が増えるほど睡眠の質が低下するという報告もあります※。呼吸器疾患や泌尿器疾患、皮膚疾患によるかゆみなどがあると、睡眠の質が妨げられるので、睡眠障害が続くようなら、こうした症状を抑える治療を受けるようにしましょう。

※ J Psychosom Res. 2004 May;56(5):497-502.

専門家プロフィール

中村真樹先生
青山・表参道睡眠ストレスクリニック院長。日本睡眠学会専門医。東北大学医学部卒・東北大学大学院医学研究科修了後、東北大学病院精神科で助教、外来医長を務める。睡眠総合ケアクリニック代々木院長を経て、2017年より現職。公益財団法人神経研究所附属睡眠学センター研究員、東京医科大学睡眠学講座客員講師。
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