“妊活”時の、薬の付き合い方

妊娠を望むなら、薬を飲む前に医師に相談を

妊娠を望む人は、薬の服用前には医師に相談することがすすめられます。市販の風邪薬や痛み止めの薬などの多くは、妊娠のごく初期に飲んでも心配ないとされていますが、念のため、妊娠している可能性がないか、その薬を飲んでも妊娠や赤ちゃんに影響がないかなどを確認しておくと安心できますね。
サリドマイドなど一部の薬を除いて、男性が飲んだ薬が妊娠や赤ちゃんに影響することは、ほとんどありません。一方、精子は約3カ月間かけて作られるため、その段階で精子の形成に影響する薬があります。気になる場合は相談してみましょう。
また、ウイルスや細菌などに感染して起こる病気(感染症)には、妊娠中にかかると妊娠や赤ちゃんに悪い影響を及ぼすものもあります。例えば、風疹は妊娠初期に妊婦さんが感染すると、赤ちゃんが白内障や緑内障、難聴、先天性の心臓の病気などを起こすリスクがあるといわれています。多くの人は抗体を持っていますが、まれに抗体のない人がいるため、妊娠前に、できれば夫婦一緒に風疹の抗体検査を受け、必要な場合はワクチンを接種しておきましょう。風疹ワクチンは妊娠してからでは接種できず、接種後2カ月間は避妊する必要があります。

夫婦での相談

持病がありながら妊娠を望むときは

もともと何らかの病気がある人が妊娠を望む場合、以下のようなリスクが考えられます。

  1. 妊娠によってお母さんの病気が悪化する
  2. お母さんの病気により妊娠が継続できなくなる
  3. お母さんの病気により赤ちゃんに悪い影響が出る
  4. お母さんが治療のために使用する薬により赤ちゃんに悪い原因が出る

リスクを回避するために、まずはお母さんの病気の治療をきちんと続けることが、最も優先されるべきことです。その上で、妊娠を望んでいることを医師に伝え、「それまで通りに治療を続けて問題がないか」「妊娠や赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があるなら薬を変えることが可能か」などを相談し、「治療を終えてから妊娠する」「妊娠や赤ちゃんに影響の少ない薬に変更する」「薬の量や種類を減らす」など、一人一人に最適と考えられる治療法を検討します。
治療や薬、妊娠や赤ちゃんなどについて、不安なことがあれば遠慮せずに医師に相談し、納得できるまで説明してもらいましょう。

赤ちゃんを迎える体を作るために大切なこと

赤ちゃんを迎えるための準備は、薬に関すること以外にもあります。禁煙をする、アルコールは控えめにする、栄養バランスのよい食事をとるなど、健康な体作りを心がけましょう。
妊娠したら、バランスよく栄養をとることが重要ですが、特にビタミンB群の一種である「葉酸」は重要といわれています。妊娠前から妊娠初期にかけて、サプリメントなどで葉酸を摂取することで、赤ちゃんの脳や脊椎の異常(神経管閉鎖障害)が起こるリスクを減らせることが知られています。
そのため、厚生労働省では妊娠する1カ月以上前から妊娠3カ月までの間に、葉酸を1日0.4mg摂取することを推奨しています。葉酸は、ブロッコリーやほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれているため、意識して食事に取り入れるようにしましょう。ただし、葉酸は熱に弱く水に溶けやすい特性があり、調理により失われてしまう成分も多いため、サプリメントなどの活用がすすめられています。

本文監修:日本赤十字社 葛飾赤十字産院 副院長 鈴木俊治 先生

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