ひふ研
体内でつくられているホルモンを薬として応用したものです。

ステロイドは、もともと体内の副腎(ふくじん)という臓器でつくられているホルモンで、このホルモンがもつ作用を薬として応用したものがステロイド薬(副腎皮質ステロイド薬)です。

外用薬(塗り薬)だけでなく内服薬や注射薬などもあり、さまざまな病気の治療に使われています。

ステロイド外用薬は、局所(塗った部分)の炎症を鎮める作用にすぐれており、湿疹・皮膚炎を中心に、皮膚疾患の治療に幅広く用いられているお薬です。

ステロイド外用薬の作用には、炎症を鎮める作用(抗炎症作用)のほか、次のようなさまざまな作用があります。

<ステロイド外用薬の主な作用>
抗炎症作用 炎症を促す物質の産生を抑える。
細胞増殖抑制作用 炎症反応を引き起こす細胞の増殖を抑える。
血管収縮作用 炎症部の血管を収縮させることで、患部の赤みを鎮める。
免疫抑制作用 抗体の産生を抑制して、免疫機能を低下させる。

また、ステロイド外用薬は塗った部位によって吸収率が違うため、患部の吸収率によって強さの異なるステロイドを使い分けます。

ヒトにおけるヒドロコルチゾンの部位別経皮吸収率 ヒトにおけるヒドロコルチゾンの部位別経皮吸収率

なお、ステロイド外用薬の局所性副作用(塗った部分に現れる可能性のある副作用)としては、次のようなものがあります。

<ステロイド外用薬の主な局所性副作用>
・皮膚の萎縮
・毛細血管の拡張(特に顔面に起こりやすい)
・酒さ様皮膚炎、口囲皮膚炎、紅潮
・乾皮症(肌の乾燥)
・感染症の誘発、悪化

また、全身性副作用(皮膚を通して吸収されて、全身に現れる可能性のある副作用)としては、次のようなものがありますが、長期にわたって大量に、効果の強いステロイド外用薬を使用し続けないかぎり、このような全身性の副作用が起こることはまれです。

<ステロイド外用薬の主な全身性副作用>
・小児における成長障害
・成人におけるクッシング症候群(体内のホルモンバランスが崩れることで起こる、肥満や高血圧、うつ、骨粗鬆症などの症状)
・糖尿病の誘発、悪化

どんなお薬でも、副作用の心配がまったくないものはありませんので、用法・用量を守って正しく使用しましょう。

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