二日酔いを予防するには、何より「飲みすぎないこと」=「適量を守ること」が大切です。何かを食べながらお酒を飲んだり、水を飲みながらお酒を飲んだりすることで、肝臓や胃の負担を軽くし、アルコール吸収をゆるやかにする効果が期待できます。
一般的な目安として、体重60~70kgの人で、ビール中びん1本(500ml)分のアルコールを分解するのに、約4時間かかるといわれています。ただし、このスピードには個人差が大きいため、「何時間たてばアルコールが完全に抜けるか」は一概にはいえません。肝臓が一度に処理できるアルコールの量には限界がありますが、その量にも個人差があります。同じ量のお酒を飲んでも、酔う人もいれば酔わない人もいるのはそのせいです。
お酒に強いかどうかは、肝臓の「アルコールを代謝する能力」の差によって決まります。アルコール代謝能力には、遺伝や体質、体内の水分量や体重、体格の差、男女の違い、年齢など、さまざまな要因が関係しています。人種によっても異なり、日本人は欧米人よりアルコールを分解する酵素の働きが弱いといわれています。強いか弱いかは先天的に決まっている部分が大きいので、たくさん飲めば強くなるとはいえません。
自分がお酒に強いか、弱いかを簡単に確かめられる「エタノール・パッチテスト」という方法があります。市販の消毒用アルコール(エタノール)をガーゼに浸み込ませ、テープで皮膚のやわらかいところに貼り、時間の経過ごとに皮膚が赤くなるかどうかを見ます。
お酒を飲み慣れていない人が自分の許容範囲を知りたいときなどの、目安のひとつになるでしょう。
二日酔いの一番の原因は「飲みすぎ」です。お酒は「適量」を守って飲めば、悪酔いや二日酔いを招くことなく、ほどよく楽しめるものです。
純アルコールに換算して20gを1単位とした場合、1日あたり1?2単位にとどめるのがよい、すなわち「適量」とされています。1単位は、ビールなら中びん1本(500ml)、日本酒なら1合(180ml)、缶チューハイなら1.5缶が目安です(詳しくは下記表参照)。
ただし、「適量」には個人差があり、1~2単位のお酒でも許容範囲を超えてしまう人もいます。まずは自分の適量を知り、飲みすぎないことが予防の第一歩となるでしょう。
体調がよくないときも、アルコールの分解能力が弱くなり、お酒が残りやすくなることがあるので注意しましょう。
ビール | (アルコール度数5度)なら | 中びん1本 | 500ml |
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日本酒 | (アルコール度数15度)なら | 1合 | 180ml |
焼酎 | (アルコール度数25度)なら | 0.6合 | 約110ml |
ウイスキー | (アルコール度数43度)なら | ダブル1杯 | 60ml |
ワイン | (アルコール度数14度)なら | 1/4本 | 約180ml |
缶チューハイ | (アルコール度数5度)なら | 1.5缶 | 約520ml |
公益社団法人アルコール健康医学協会より
「イッキ飲み」など急に多量のお酒を飲むと、急激に血液中のアルコール濃度が高くなり、体に負担がかかります。違うお酒を次々と飲む「チャンポン」は、種類を変えるうちに飲んだ量がわからなくなり、飲みすぎにつながることがあります。また、夜遅くまで飲み続けるのも、アルコールの分解に朝まで時間がかかってしまうので二日酔いにつながりやすくなります。
空腹時にお酒を飲むと、胃の粘膜がアルコールに刺激されて荒れやすくなります。空っぽの胃にお酒が入ることで、アルコールが急速に吸収され、早く酔いが回ることも。つまみを食べながら飲めば、胃の中の食べ物が膜を作って胃の粘膜を保護してくれます。食べ物を口に運ぶことで飲み方がゆっくりになり、アルコールの吸収もゆるやかになります。
牛乳やチーズなどの脂肪を含む食品を飲む前に食べると、胃に膜を作ってくれます。枝豆や豆腐、肉、魚などのタンパク質を一緒に食べると、肝臓の細胞の再生を促進し、アルコールを分解する力を高めます。アルコールで失われがちなビタミン・ミネラル類を補う野菜も一緒に食べましょう。
お酒と一緒に水を飲むと胃が守られます。ウイスキーや焼酎などの強いお酒は、水で割ったり、チェイサーと一緒に飲むようにすると、アルコールの摂取量を抑えられ、血中アルコール濃度の急激な上昇を防ぐので、肝臓への負担も軽くなります。
お酒で体の水分が失われると二日酔いの症状が起こりやすくなるので、水分はよく摂っておきましょう。
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