夏は室内外問わず、熱中症への注意が必要です。熱中症の症状がみられたら、まずは涼しい場所で安静にし、水分・塩分を補給をしましょう。熱中症は命に関わることがあります。激しい頭痛や高熱など、症状が重いときはすぐ病院へ行きましょう。熱中症は症状に応じて素早く適切な処置を行うことが大切です。
激しい頭痛や吐き気、40度近い高熱など症状が重い場合は速やかに受診しましょう。また、自力で水分がとれない、異常行動や意識障害がみられる、けいれんを起こしているなどの場合は、一刻も早い対応が必要なため、救急車を呼んでください。
症状が軽く自力で水分補給でき、意識がはっきりしていて、涼しいところでしばらく安静にして改善される場合は、セルフケアで様子をみましょう。
分類 | 症状 | 対応方法 |
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I度 | めまい・失神(立ちくらみ) 筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り) 大量の発汗 |
すぐに涼しい場所に移してからだを冷やし水分・塩分を与える |
II度 | 頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感 | 自分で水分・塩分をとれない場合は、すぐに病院に搬送する |
III度 | 意識障害・けいれん・手足の運動障害 高体温 |
すぐに病院に搬送する |
立ちくらみ、めまい、筋肉のけいれん、倦怠感、脱力感など熱中症を疑う症状がみられたら、まずは風通しのよい日陰やエアコンのきいた室内に移動します。すぐに冷たい水や塩水、スポーツドリンクなどを飲み、横になってからだを休めましょう。
衣類の襟元をゆるめたり、脱いだりして、うちわや扇風機で風をあてたり、氷や氷嚢でからだを冷やしてもいいでしょう。冷やす場合は、首筋やわきの下、足の付け根、足首など動脈が通っている部分を冷やすのが効果的です。
熱中症になったら、体力回復のために栄養補給することも大切です。栄養素からエネルギーを産み出す代謝(TCAサイクル)の助けになるのは、ビタミンB1やB2、B6などのビタミンB群です。なかでもエネルギー源となる炭水化物の分解・吸収に欠かせないビタミンB1は、食事のほか、栄養ドリンクなどで補給してもいいでしょう。
栄養を補うために飲むとよいとされる栄養ドリンクには、ビタミンB群のほかにさまざまな有効成分が含まれています。
成分 | 作用 |
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ビタミンB1 | ビオタミン(ベンフォチアミン)、オクトチアミン、フルスルチアミン、硝酸チアミンなどがある。エネルギー代謝の補酵素として作用し、神経や筋肉の働きを助けて、肉体疲労・倦怠感・肩こり・眼精疲労などの症状を改善する。 |
ビタミンB2 | リボフラビンとも呼ばれる。炭水化物、脂肪の代謝の際に補酵素として働き、TCAサイクルを助ける。皮膚や粘膜、爪、髪の健康を保ち、肌荒れ、ニキビ、口内炎などの症状を改善する。 |
ビタミンB6 | タンパク質の代謝の補酵素として働く。ホルモンや神経伝達物質の合成、脂質代謝、免疫機能の維持や、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあり、手足のしびれや神経痛、肌荒れ、ニキビ、口内炎などの症状を改善する。 |
リバオール(ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン) | ビタミン様物質として知られるパンガミン酸(ビタミンB15)の活性成分。肝機能の改善に効果があり、体内の酵素系に働き各種代謝を促進し、疲労回復や滋養強壮に効果がある。 |
タウリン(アミノエチルスルホン酸) | アミノ酸の一種。生体内代謝に関わり、胆汁の分泌、解毒、肝保護などの作用があり、疲労回復や栄養補給に効果がある。 |
アスパラギン酸 | アスパラガスから発見されたアミノ酸のひとつ。神経伝達物質の原料となり、窒素代謝とエネルギー代謝に関わり、疲労に対する抵抗力を高める効果がある。 |
ニコチン酸アミド | 生体内の酸化還元反応に関わる補酵素で、循環、血行を改善する作用がある。 |
グルクロノラクトン | 肝臓の解毒機能を助け、有毒物質の体外への排出を促進する作用があり、疲労回復や栄養補給に効果がある。 |
カルニチン塩化物 | ダイエット成分として注目され、脂肪のエネルギー代謝を促す作用がある。 |
ローヤルゼリー | 働きバチの咽頭腺から分泌される糊状物質で、アミノ酸・ビタミン・ミネラルを豊富に含み、新陳代謝の促進や血流促進の作用があるとされる。 |
十分な睡眠や休養、栄養をとり、体力の回復を図りましょう。毎日の生活のなかで、涼しく過ごす工夫やこまめな水分補給を心がけ、暑さに負けない健康なからだづくりをしておくことも大切です。