痔は男女問わず、多くの日本人が抱えるポピュラーな病気です。良性のものがほとんどで、軽症であればOTC医薬品の使用や便秘の改善などによって、セルフケアが可能です。また、多くの病院では患者さんが恥ずかしくないようにと、配慮して治療を進めてくれます。出血が多い場合や内痔核、外痔核が進行しているときは、早めに受診しましょう。
痔と似た症状でも、実際には大腸癌や大腸ポリープなど重篤な病気が見つかる例もまれにあるので、次のような場合には、「肛門科」を標榜されている医療機関を受診しましょう。
また、妊娠初期の場合、授乳中の場合は、念のためかかりつけ産婦人科医に相談しましょう。
軽いいぼ痔(内痔核・外痔核とも)やきれ痔で出血や痛みが軽いときは、坐薬、軟膏、スプレー式軟膏、注入軟膏などのOTC医薬品でセルフケアしましょう。
また、慢性の便秘が原因のときには、同時に便秘の改善にも励みましょう。
「便秘」の症状がある場合は、こちらもご参照ください。
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セルフケアする場合には、患部の痛み・かゆみ・炎症を和らげる成分、止血成分、組織修復成分が配合されている外用薬を使用します。
分類 | はたらき・作用 | 代表的な成分名 |
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抗炎症成分 | 患部の腫れなどの炎症を抑える |
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抗ヒスタミン成分 | かゆみを鎮める |
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止血成分 | 血管を収縮させて止血効果を促す |
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局所麻酔成分 | 皮膚・粘膜の知覚神経に作用して刺激の伝達を抑え、痛みやかゆみを和らげる |
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殺菌消毒成分 | 細菌の感染を抑え、傷口の悪化を防止する |
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組織修復成分 | 肛門部の創傷の治癒を促す |
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いぼ痔が内側にできている内痔核の場合は、坐薬や注入するタイプの軟膏、外側にできている外痔核や切れ痔の場合には、塗るタイプやスプレータイプの軟膏を使用しましょう。
注意すべきは、患部が化膿している場合です。末梢組織の免疫機能を低下させ、皮膚感染が起こりやすくなるので、ステロイド配合のものは使用せず、医師や薬剤師に相談を。
また、7歳未満の子どもは、坐薬の使用には注意が必要です。まずは医師・薬剤師に相談しましょう。
いずれも、まずは患部を清潔にします。それから以下の手順で処置しましょう。
3人に1人が悩んでいると言われるほど、とても身近な病気である痔。特にここ10年は、パソコンの普及で長時間座り続けている人が多くなっているため、肛門がうっ血して痔になる女性が増えています。痔は男性に多いというイメージが定着していますが、実は男女比に明らかな差がないのが実情です(厚生労働省、平成22年国民生活基礎調査より)。便秘や下痢などの便通異常を訴える人は男性よりも女性に多いため、むしろ痔になりやすいとも言えるのです。また、妊娠すると、肛門周辺がうっ血していぼ痔になる人が多く、出産時のいきみも、痔の原因となります。妊娠・出産を機に痔になる女性は少なくないため、特にこの時期は肛門のケアに気を配りたいものですね。
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