ステロイドには、体の免疫反応を抑える働きがあり、アレルギーなどの過剰な免疫反応を抑えるには優れた効果が期待できます。ただし、長期に使用すると皮膚が委縮して固くなるなどの副作用も報告されていますので、医師や薬剤師などに相談して上手に使いましょう。
炎症反応が起こると、細胞膜のリン脂質に結合しているアラキドン酸という物質から、酵素を介してロイコトリエン、プロスタグランジンという生理活性物質が作られ、それらの作用で痛みや炎症などの症状が起こります。
炎症を抑える成分のうち、非ステロイド性抗炎症成分はプロスタグランジンを作る過程を、ステロイドはその前のアラキドン酸の働きを抑えるので、ステロイドの方が非ステロイド性抗炎症成分よりも強力な抗炎症作用を発揮します。
その他、ステロイド成分には以下のはたらきがあります。
抗炎症作用 | 炎症を促す物質の産生を抑制します。 |
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細胞増殖抑制作用 | 炎症反応を引き起こす細胞の増殖を抑えます。 |
血管収縮作用 | 炎症部の血管を収縮させることで、患部の赤みを鎮めます。 |
免疫抑制作用 | 抗体の産生を抑制します。 |
ステロイド成分を配合した外用剤は、次のことに気をつけながら使いましょう。
ステロイド外用剤は強さによって5段階に分けられます。市販薬(OTC医薬品)に使われるのはstrong、medium、weakの3ランクに属する成分です。
ランク | 代表的な成分 | この成分が配合されている第一三共ヘルスケア製品 | |
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strongest(ストロンゲスト:最も強い) |
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very strong(ベリーストロング:とても強い) |
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strong(ストロング:強い) |
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medium(ミディアム:普通) |
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weak(ウィーク:弱い) |
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ステロイド外用剤は、他の薬剤と同様、weak、mediumといった弱い薬から始め、その効果をみながらstrong、very strongと強さの段階をあげていく「ステップアップ」療法が一般的でした。
ところが効果の低いものを使い続けると、治療期間がいたずらに長くなり、場合によっては症状が悪化することがわかってきたため、現在では「ステップダウン」療法が主流になっています。まず効果の高いステロイド外用剤で短期間に症状を改善し、様子をみながら弱いタイプへ移行していく方法です。
おもに体のどの部位に炎症が起こっているかによって、ステロイド外用剤の強さを使い分けることが必要です。
というのも、ステロイド外用剤の吸収率は腕を1とした場合、頭皮は3.5、手のひらは0.8、足裏は0.1と、おもに皮膚の厚さによって全く異なるからです。ステロイド外用剤が吸収されやすい部位としては、頬の13、陰部の42などです。
吸収率の高い部位ほど長期連用した場合に局所性の副作用が出やすくなりますので、注意が必要です。顔や皮膚の弱い部分やお子さまや高齢の人が使用する場合、ステロイド外用剤の強さを1ランク下げるかノンステロイドタイプの皮膚用薬での対処がおすすめです。乳幼児へのステロイド外用剤の使用は医師や薬剤師など専門家に相談して使用しましょう。
ステロイド外用剤は皮膚炎などに優れた効果を発揮します。
しかし漫然と使用するのではなく、症状の改善がみられた場合は使用をやめるようにしましょう。
OTC医薬品(市販薬)のステロイド外用剤は2週間を目安に使用してください。
5~6日間使用して改善がみられない場合は使用を中止し、医療機関を受診するようにしましょう。