その1
下腹部痛
生理前から生理前半にかけて、子宮を収縮し経血を排出するために必要なプロスタグランジンというホルモン物質が血液内に分泌されます。
プロスタグランジンの量が多いと子宮が強く収縮するため痛みが増し、下腹部痛が起こります。
また、冷えやストレスから血行不良になり痛みが増す一因にもなります。
子宮筋腫などの疾患があると経血が多く過多月経になりがちです。月経量が多いために生活に支障をきたす場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
その2
頭痛
生理周期は、2種類の女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)*1とプロゲステロン(黄体ホルモン)*2で構成されています。
エストロゲンは、排卵後に減少し、その後また増え生理前に減少します。
プロゲステロンは、痛みの抑制作用を持ち、血管収縮のコントロールを担っているセロトニンも減少させます。
セロトニンが減少すると脳の血管が拡張し、それが刺激となり頭痛として現れます。
また、片頭痛に悩む女性の約半数は生理前から生理中にかけて頭痛が起こることがあり「月経時片頭痛」と呼ばれています。
- *1エストロゲン(卵胞ホルモン):生殖器官を発育・維持したり女性らしい丸みのある体形をつくる機能を持つホルモン
- *2プロゲステロン(黄体ホルモン):子宮内膜を受精卵が着床しやすいように整えるホルモン
その3
腰痛
子宮が背中側に傾いている人は、子宮の収縮痛を腰痛ととらえる場合があります。また、腰や骨盤周りの筋肉への血行不良によっても腰痛を起こすとされています。
また、冷えやストレス、ホルモン値の変動が要因となり血行不良が起こり、一層腰痛を感じやすくなります。
体を冷やさないようにお腹や腰を温めたり、ストレッチなど行い血行を改善したりするようにしましょう。
その4
その他の症状
その他、生理痛の症状として、ホルモン値の変動により起こる情緒不安定、イライラや憂鬱、貧血、眠気、肌荒れ、吐き気、下痢など、多岐にわたることがあります。
生理前から生理開始にかけて特に体調不良を感じ、それによって日常生活に支障をきたしているような症状を「月経前症候群(PMS)」と呼びます。
【監修】高尾 美穂/MIHO TAKAO
産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター
女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長
株式会社ドーム(アンダーアーマー)アドバイザーリードクター
文部科学省・国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバー