頭痛と上手に付き合うために 痛みのコラム 知っておきたい頭痛の特徴と対処法 頭痛と上手に付き合うために 痛みのコラム 知っておきたい頭痛の特徴と対処法

調査対象者の約2人に1人が感じている“頭痛”。
多くの日本人を悩ませる頭痛について頭痛専門医の清水俊彦先生に聞きました。

慢性頭痛の
タイプ別特徴や見分け方

その1

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、心身のストレスにより首や肩、頭の筋肉などが緊張して血流が悪くなることで、筋肉に疲労物質がたまり、これが神経を刺激して、締め付けられるような痛みが生じるというもの。その多くは、運動をしたり頭を振ったりしても頭痛がひどくなることはありません。むしろ、お風呂に入って体をほぐしたり、ストレッチなどの筋肉をほぐす動作で、痛みが和らぐことが多いものです。

その2

片頭痛

片頭痛は、ストレスなど、何らかの刺激でセロトニンという神経伝達物質が血液中に放出され、その後、セロトニンが枯渇すると、一気に脳の血管が拡がり、その周囲に炎症をおこし、センサーである脳血管周囲の三叉神経を刺激して痛みを脳に伝えることが原因でおこります。ズキンズキンと脈打つような痛みのほかに、嘔吐や下痢などの消化管異常をともなったりするのも特徴です。緊張型頭痛とちがって、光や音、臭いなどの刺激や、動くことで悪化し、火花が散るように見える閃輝暗点(せんきあんてん)とよばれる前兆がある人もいます。

その3

群発頭痛

群発頭痛は、頻度としてはとても少なく、働き盛りの男性に多い頭痛です。原因はよくわかっていません。毎日、夜中から明け方ごろまで1~2時間にわたり、片目の奥が激しく痛み、充血や鼻づまり、涙などの自律神経症状も出ることが多いです。

鎮痛薬が効かない時の
対処法とは?

正しい用法・用量で鎮痛薬を服用しても痛みが続く場合は、頭痛専門外来を受診するようにしましょう。頭痛でもっとも重要なのは、脳に器質的な(物質的もしくは物理的な)異常がないかどうかを確認することです。
検査では、頭部CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴映像)などの画像診断が主ですが、これらの検査では、一次性頭痛のうち片頭痛などのタイプを明らかにすることはできません。
そこで、頭痛専門外来では、問診や脳波の検査を行うことで、頭痛の程度や日常生活への支障度を判断し、生活習慣の改善指導や、適切な服薬指導、治療を行います。

【監修】清水 俊彦/TOSHIHIKO SHIMIZU

1958年京都府生まれ。日本医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学院博士課程修了。
同大学脳神経センター、獨協医科大学病院等で頭痛外来を開設。日本脳神経外科学会専門医。
日本頭痛学会専門医。日本頭痛学会監事や幹事を歴任後、現評議員。