- やけど(熱傷)とは、熱による皮膚や粘膜の損傷をいいます。
- 高温の液体や物体、火炎などに一定時間以上接することで起こります。
- 受傷直後から赤みや腫れが現れます。しばらくして水ぶくれができることもあります。
- やけどした部位をすみやかに、十分に冷却することが、症状の進行や痛みを軽減させます。
やけど(熱傷)とは?
原因は?
- 最も多いのは、熱湯や火炎、高温の物体に触れることで起こる「温熱やけど」です。
- ほかに、雷や電流に触れることで起こる「電撃やけど」、酸やアルカリの物質に接触して起こる「化学やけど」、40~55℃程度のそれほど高くない温度の熱源に持続的に触れて起こる「低温やけど」などがあります。広義には「日焼け」もやけどに含まれます。
- 熱い飲み物をこぼしたり、熱をもった調理器具、暖房器具などにうっかり触れて起こることが多いようです。子どもでは、電気ポットや炊飯器の蒸気に触れてやけどする事故が多くなっています。
- 低温やけどの原因となりやすいのは、使い捨てカイロ、就寝時に布団の中に入れっぱなしにした湯たんぽ(電気あんか)などです。
どんな症状?
- やけどは、その深さによって次のように分類されており、現れる症状も異なります。
- 細菌感染が起こるとやけどがより重症化することが知られています。
深度 | 症状 | 治療まで |
---|---|---|
Ⅰ度熱傷 | 皮膚表面のやけど。赤くなる。ヒリヒリする痛みや熱感がある。 | 1週間以内 |
Ⅱ度熱傷 (浅達性) |
赤くなり、水ぶくれができる。強い痛みや灼熱感がある。 | 1〜2週間 |
Ⅱ度熱傷 (深達性) |
赤み~紫~白っぽくなり、水ぶくれができる。強い痛みがある。 治癒しても跡が残ることが多い。 |
3〜4週間 |
Ⅲ度熱傷 | 褐色~白色~黒色。皮膚全層が破壊された状態で、水ぶくれはできず、痛みもない。皮膚はほとんど再生しない。 | 4週間以上 |
やけどの深さ(イメージ図)
対処・予防法は?
- 慌てずすみやかに、水道水で患部を十分に(痛みが和らぐまでを目安に長めに)冷やします。しっかり冷やすことで、症状の進行や痛みが軽減されます。
- 服の上から受傷した場合には、脱がずに服の上から冷水をかけて冷やします。無理に脱ぐと衣服の熱から別の部位にやけどが広がったり、患部を冷却するまでに時間がかかりより深いやけどになるおそれがあります。また、無理に脱ぐと皮膚がはがれてしまうこともあるので、十分に気をつけてください。
- 顔などの水をかけ続けるのが難しい部位は、濡らした清潔なタオルなどで冷やします。
- 水ぶくれができた場合には、無理につぶさず、自然にやぶれた場合も無理にはがさないようにします。
- やけどの深さの判断は難しく、Ⅱ度以上のやけどの場合には、適切な治療を受けないと跡が残ったり、治癒までに時間がかかったりします。明らかに軽度のやけど以外は、応急処置ののち医療機関(皮膚科や形成外科)を受診するようにしましょう。
- 深さにかかわらず、やけどの範囲が広い場合には命に関わることがあります。冷やしながらできるだけ早く受診することが大切です。必要に応じて救急車の要請も検討してください。
- 低温やけども同様に、外見は軽症に見えても、皮膚の深部が損傷していることがあるため受診をおすすめします。
コラム「日焼け」はやけど?
- 日焼けも太陽光(紫外線)によって起こるやけどの一種。医学的には日光皮膚炎と呼ばれます。
- 日光にあたって赤くなり、ひりひりした痛みやかゆみを感じた経験のある人は少なくないでしょう。さらにひどい場合にはむくんだり、水ぶくれができたりすることもあります。
- 日焼けのケアもやけどと同じように、起こってしまったらまずはしっかり冷やすことが大切です。日焼けは通常のやけどに比べて範囲が広いことが多いため(背中全体など)、水風呂に浸かったり、弱めのシャワーで水を浴びるなども有効です。
- 日焼けによって皮膚は乾燥した状態になるため、十分に冷やしたあとは、低刺激のローションなどで保湿することも忘れずに。
- もちろん、サンスクリーン(日焼け止め)や日傘、帽子などを活用して日差しを避けることが一番の予防です。