外来で役立つ
外来で抗がん剤治療を行う場合、患者さん自身が副作用を早期発見できるように指導することが大切になります。適切なケアを続けてもらうために、患者さんの皮膚の状況や日常的なスキンケアの方法、生活習慣などを事前に確認しておくとともに、患者さん自身が自分の皮膚をチェックする方法をアドバイスしましょう。
事前にチェックしておきたい項目
外来で抗がん剤治療を受けている患者さんでは、よりセルフケアが重要になってきます。その方に合った適切なセルフケア方法をアドバイスするためには、事前にチェックしておくべき項目がいくつかあります。
セルフケア指導を行う前に、薬疹の履歴はもちろん、患者さんの生活習慣をヒアリングし、スキンケア状況などを把握しておきましょう。
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薬疹履歴
当然のことですが、まず薬疹(アレルギー性薬疹)の履歴を把握しておく必要があります。アレルギー性薬疹は、薬に対して反応するような細胞や抗体のある人(薬に感作された状態にある人)に生じやすいトラブルです。
抗がん剤に含まれている添加物によるアレルギーが薬疹の原因になることもあります。 -
治療前の皮膚の状況
もともと乾燥肌なのか、アレルギー(アトピー)の素因はあるか、痒みが出やすいのかといった皮膚の状況を確認しておくことも大切です。とくに高齢者では、抗がん剤による皮膚の乾燥に、加齢によるドライスキンも加わるのでより万全な全身の保湿が必要になります。
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日常のスキンケア方法
日常的に保湿などのスキンケアを行っているかどうか、その方法についてもチェックしましょう。
スキンケアの実施状況については、入浴時には何を使ってどのように洗っているか、入浴後に保湿クリームやボディローションなどで保湿を行っているか、ハンドクリームを使う習慣があるかどうかを確認します。 -
入浴・洗顔・洗髪の習慣
入浴やシャワー浴、洗顔、洗髪の習慣についても質問します。その際、「毎日、入浴していますか?」「シャワー浴が多いですか?」など具体的に聞くようにしましょう。とくに高齢者の場合、毎日は入浴しないという人も少なくないので正確に把握しておく必要があります。
また、入浴する際は何度くらいのお湯に、どのくらいの時間入っているかも大切なチェックポイントです。長時間の入浴や熱い温度のお湯は、皮膚を傷つけやすくしますし、血管拡張によって痒みが強くなることにもなるので注意が必要です。 -
使用している化粧品やひげ剃りの種類
男性の場合はひげ剃り、女性の場合は化粧品についても質問します。使用している化粧品やひげ剃りの種類、また化粧する頻度やひげを剃る頻度についても把握します。
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手足の状態
分子標的薬による手足症候群では物理的刺激や圧力、摩擦のかかる部位に症状が出ます。足の裏などにタコがないか、外反母趾がないかをチェックしておきましょう。
また、爪囲炎のリスクを把握するために、巻き爪や爪白癬があるかどうかや、爪切りの習慣(深爪をする習慣)についても確認しておきます。
また女性の場合、手湿疹がないか、台所での仕事の状況なども質問してください。
もともと手荒れがひどい人は、手足症候群や爪囲炎になる可能性が高いので、予防のためにもこうしたチェックは欠かせません。
手足症候群や爪囲炎は、もともと手足の状態が悪い部位に起こりやすいということを覚えておいてください。