生活で役立つ
日常生活のなかで患者さんが正しくセルフケアを行えるようサポートすることは、医療従事者にとって重要な役割です。ここではセルフケア支援の方法やスキンケアの指導のポイントを紹介します。
セルフケア支援の方法
抗がん剤治療中は皮脂や汗の分泌が少なくなり、皮膚は乾燥しがちです。皮膚が乾燥すると、刺激物質や細菌などが侵入しやすい状態になります。皮膚の汚れの蓄積も皮膚トラブルを悪化させます。
皮膚トラブルの悪化を予防するために、治療が始まったらスキンケアを始めるように指導しましょう。誰でも長年の生活習慣を変えるのは難しいものです。患者さんにセルフケアの指導を行っても一度でできるとは考えず、根気強く繰り返しアドバイスを続けることが大切になります。
セルフケアがなかなか実施できない患者さんの場合、頻回の来院を勧めて、良好な関係を築くことも大切になります。
最初からすべてを実施できるとは考えず、優先順位をつけて指導することも必要になります。少しでも患者さんが実践できたことはその頑張りを認め、少しずつ段階的にできることを増やしていくようにしましょう。こうしたことも含めての「治療」や「看護」なのです。患者さんがセルフケアを継続できるようになるための良い相談相手になってください。「自分を心配してくれる人がいる」と思えることが患者さんにとって何よりも力になります。
患者さんが正しいセルフケアを実施するためには、医療従事者による指導が重要になってきますが、その際、アドバイスはできるだけ具体的に行いましょう。スキンケア用品なども具体的に提案し、それを実際に使用しながら指導を進めます。指導が具体的であればあるほどセルフケアの継続率は高くなります。
高齢者など体力的な衰えや身体機能の低下などが原因でセルフケアの実施が難しい場合は、家族の協力をお願いすることや、訪問看護・介護や通所介護施設などの社会資源を活用することも必要になってくるでしょう。