免疫チェックポイント阻害薬
皮膚障害の原因
免疫チェックポイント阻害薬は、自分自身の免疫の力を利用してがん細胞を排除させる薬です。しかし、時にその自分の免疫機能が過剰に働くこともあります。そのため、自己免疫疾患のように自分の正常細胞も攻撃されてしまいます。皮膚では、メラニン色素をつくる細胞が攻撃を受けて色素の生成が障害されたり(白斑)、発疹が出たりすることがあると考えられます。
免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害の特徴は、投与初期に起こること、他の副作用に比べて頻度は高いものの軽症であることが多い点があげられます。
一般に、症状は治療開始から3〜6週間目に発症し、薬の用量が増えると症状も出現しやすくなります。
起こりやすい皮膚障害
免疫チェックポイント阻害薬では、免疫関連有害事象のひとつとしての皮膚障害が注目されています。皮膚障害は通常、治療開始から3〜6週間目で発症しますが、なかには1年以上経ってから副作用が現れることもあります。
薬剤の用量が多いほど皮膚障害が出現しやすい傾向があります。治療が終わると症状は消失することがほとんどです。
免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害は、大きく「皮疹」と「白斑」の2つに分けられます。どちらも免疫関連の皮膚障害と考えられています。
皮疹
免疫チェックポイント阻害薬によって起こる皮膚症状は多様で、決まったものはありません。発疹、皮膚炎、そう痒症、丘疹、乾燥肌などがあります。
免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害は頻度が高く、発現は早く、程度は軽いことが特徴です。しかし、まれに皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)や多形紅斑、類天疱瘡など重度の皮膚障害が起こることもあります。
白斑(皮膚色素減少症)
自分の免疫機能によって色素を生成するメラニン細胞が攻撃され、メラニンの生成が障害されて、白斑ができます。これを白斑様メラノーマ関連低色素沈着といいます。白斑は全身どこにでも現れ、大きさや形はさまざまです。
なお、白斑は悪性黒色腫の患者さんに多いことが知られており、免疫療法によって引き起こされることもあります。抗PD-1抗体で治療をしている患者さんは、白斑が出た場合には予後が良いことがわかっています。