LEARN
症例から学ぶ

ざ瘡様皮疹

原因

上皮成長因子受容体(EGFR)は毛包(毛穴)にも発現しており、EGFR阻害薬の作用で障害されることで毛包炎を起こし、ざ瘡様皮疹を生じます。
ニキビ(尋常性ざ瘡)では皮疹は顔面に生じますが、ざ瘡様皮疹の場合は顔面以外にも皮疹のあることが特徴です。

発現時期

皮膚障害のなかで最も早期にみられる症状で、多くは治療開始後1〜4週間目(1か月以内)に発症します。

外見的特徴と自覚症状

急速に悪化する毛穴に一致したニキビ様の皮疹が特徴です。顔面だけでなく、頭部や体幹(胸や背中など)、四肢にも症状が起こり、時に痒みや痛み、ひりひり感などを伴います。【写真8、9】

  • 写真8

    写真8 ざ瘡様皮疹

  • 写真9

    写真9 ざ瘡様皮疹

頭部にできると膿瘍ができて痛みが強くなったり、脱毛になることもあります。【写真10】

膿瘍

脱毛

写真10

写真10 ざ瘡様皮疹

また、初診時には軽症でも、1〜2週間で急速に悪化し、角層がかさぶたになって皮膚に蓄積するアカツキ病のようになることもあるので注意が必要です。【写真11】

軽症

重症

写真11

写真11 ざ瘡様皮疹

ざ瘡様皮疹はとくに顔面に多く生じるので患者さんのQOLを著しく阻害します。

対処法・指導

治療前からの正しいスキンケア指導が必須です。
支持療法としてはステロイド外用薬が基本ですが、とくに顔面は副作用が生じやすいので長期使用は避けなければなりません。ステロイド外用薬が逆効果になる場合もあるので使用は慎重に判断する必要があります。
外用療法を1か月程度続けて効果がない場合、安易に強いステロイド外用薬にランクアップするのではなく、皮膚科にコンサルテーションしていただきたいと思います。
中等症(皮疹が体表面積の10〜30%を占める)ではミノサイクリンの内服が加わります。重症(皮疹が体表面積の30%以上)になると休薬が必要になるケースもあります。
ざ瘡様皮疹は一見軽症に見えても、それが続くとは限らないので、経過をよく観察していくことが大切になります。

サイトへのご意見サイトへのご意見