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小学生のケガを防ぐには?「危ない」と注意するよりも、子どもに響く“伝え方”って?【後編】

September 10, 2024

小学生のケガについて、小学生のお子さんをもつwith class mamaメンバーのまめねこさん、愛田あいさんと、「たけしファミリークリニック」の北垣毅院長と一緒に学ぶ今回のテーマ。前編では、小学生で多いケガについての対処法を北垣先生に伺いました。後編となる今回は、子どもの異変を見逃さないためにすべきことや、家の中でのケガを防ぐために見直したいことなどについて伺いました。

参加メンバー
北垣毅先生(たけしファミリークリニック院長)
まめねこ:9歳、5歳の2児のママ
愛田あい:8歳、5歳、2歳の3児のママ

▶▶▶前編はこちら

「危ない」と親が先回りしすぎるのもよくない?

――まめねこさんと愛田さんは、ケガしないようにお子さんに声かけをしたり、普段気をつけていることはありますか?

まめねこ 危ないことをしようとしていると、結構先回りして「それは危ないからもうやめて」と言いがちなのですが、育児書には「親が先回りして、危ないとは言いすぎてはいけない」「子どもには経験させるべき」と書いてあって。でもケガをしたら大変だし、じゃあどうしたらいいの?と悩んではいます。

愛田 我が家は一番下の子がまだ2歳なので、どうしてもそっちに目が行きがちで。上の子はもう小学生だしある程度は大丈夫だろうと思って、一人で遊びに行くときには「車には気をつけてね」くらいの声かけしか最近はしなくなりました。ただ、家の階段の上から飛び降りたりとか、3年生でもまだ自分で「これは危ない」ということがわかっていないんじゃないかと思うような行動も多くて。見ていないときにケガをしても、まだ子どもの語彙力が少ないので、「どのようにしてケガしたのか」がわからないことも多く困っています。

北垣 いくら親が「危ない」と言っても、やってしまう子どもは多いし、難しいですよね。どうしても親は敏感になりがちですが、致命的なケガに結びつくものでなければ、ある程度は仕方のないことだと受け止めた方が、親自身が今よりもラクになると思います。あまりにも「それはダメ」「これも危ない」と言い過ぎてしまうと、子どもは「なぜダメなのか」ということがきちんと理解できないままになってしまう。子どももある程度成長してくれば、「これは大丈夫」「これは危なかったな」とわかってくるので、その過程を見守ってあげるのがいいでしょう。ただ、子どもが使うものを壊れているのにそのままにしていた、など、親の不注意でのケガは避けたいですね。

愛田 たしかにあまりにも過保護になってしまうと、結局長い目で見たら子どものためにはなっていないのかもしれないですね。

北垣 家の中や一緒にいるときにどんなに気をつけても、思わずつまづいてしまってケガすることもあるじゃないですか。いくら対策をしていても、ケガをゼロにはできないんです。過剰に怖がったり、あまりマイナスに捉えるのではなく、ケガした後の対応をしっかりと学んでおけば大丈夫。そう思うことで、少しでもママの心がラクになってくれたらと思います。

――過保護で心配しすぎてしまう親御さんがいる一方で、ちょっとした捻挫や突き指などだと、「大したケガじゃないし、大丈夫だろう」と軽く見てしまうこともあると思います。子どものときのケガを放置してしまうと、発育に悪影響が出ることもあるのでしょうか?

北垣 子どもの骨は成長途中で、骨が成長するために必要な成長軟骨である骨端線を打撲などで傷つけてしまうと、骨の成長が止まってしまうこともあります。また、突き指などで靭帯が切れてしまうと、変形が残ってしまうことも。ケガした後の2、3週間の治療がとても大切で、とにかくケガしたところを使わないこと。例えば、バスケットボールで突き指した場合は、しばらくボールでの練習は控えて、ランニングのみにしたり、サッカーで捻挫した場合は、足を使わないような違うトレーニングを行うなど、見直すようにしてください。

ケガしたことを“言いやすい雰囲気”をつくる

――お子さんが成長するにつれて、ケガに気づきにくくなったなどありますか?

愛田 膝を擦りむいているなど一目でわかるケガは、「ここどうしたの?」と気づけるので問題ないのですが、ヒヤッとするのは、例えばお風呂のときに、「今日学校で友達とぶつかって、頭ぶつけた」などとポロッと言ったとき。今のところ大事に至ったことがないので大丈夫ですが、子どもが言ってくれないとわからないケガは見逃しがちですよね。

まめねこ 私も同じです。低学年のころは「ママ、怪我した。ここが痛い」ってすぐに言ってくれていたんですが、長男が5年生になったら、なにかあっても言わないようになってしまって。この間も、実はサッカーで足首を捻挫していたようなのですが、私にも友達や先生にも言わないままで、何日かして、「痛みがなかなか取れない」状況になって初めて「実は……」と明かしてきたんです。問題なく歩けているし、子どもが大きくなってくると、親としては気づきにくくなってくるなと感じていて。

北垣 どうしても子どもは、「ケガしたって言ったら怒られるんじゃないか」とか、そもそもケガする=失敗というマイナスイメージを強く持っているため、隠してしまうんですよね。じゃあ、親が毎日フィジカルチェックをするのかといえば、それはなかなか難しい。やはり、子どもが“言いやすい雰囲気”を普段からつくってあげるのが大切だと思います。まずは「今日学校でなにもなかった?」「ケガしなかった?」と、おかえりを言うついでに声をかけて、もし子どもがなにか言ってきたら、「よく言ってくれたね」「よくこれまで我慢したね」と、とびっきり褒めてあげる。「ええ!?大丈夫なの?」「気をつけなきゃだめじゃない」などと言ってしまうと、子どもは次からはもっと隠そうとしてしまいます。子どものケガには、からだだけでなく心のケアも必要です。親御さんは慌てず、優しくお子さんに接してあげましょう。

子どもと一緒にゲーム感覚でケガ予防!

――家の中では、子どものケガをしないように工夫していることはありますか?

まめねこ 滑って転ばないように、靴下を脱がして裸足にさせるようにしています。それと、よくきょうだいで追いかけっこをして、追いかけてこないようにドアをバンって思いっきり閉めたりして、指を挟まないかヒヤヒヤすることがあるのですが、そういった子どもが夢中になってるときにケガが多いので、そういったときほど、注意して見て、よく声かけするようにしています。

愛田 我が家は「ドアで遊ばないで」「床にモノを置きっぱなしにしないで」という2つは、かなり口酸っぱく言っています。長男には「弟がやったら危ないと思うことはしないで」というのもよく言っていますが、なかなか聞かないことも多く……。

北垣 「危ないよ」と言葉で伝えるだけでは、「なぜ危ないのか」子どもが自分事として考えるのはなかなか難しいです。物理的に危なくないようにするというのも大切ですが、おすすめなのはスマホで家の中を動画で撮影して、「この動画の中でケガしそうな危ないところを3つ探してごらん」と子どもにクイズ形式で探させるんです。これは産業医として企業で行っている、危険予知の訓練と同じ方法なんです。今の子どもたちは動画に慣れているし、ゲーム感覚で楽しめる。「危ない」と注意されるよりも、お子さんもポジティブに受け取ってくれると思います。家の中だけでなく、よく行く公園などを撮影して、同じようにするのもいいでしょう。

まめねこ その方法だと子どもの考える力も身につきそうですね!

北垣 実際に走り回っているところを動画で撮影して、「このまま走り回っていたらどんなケガをしちゃいそうかな?」と考えさせるのもいいと思いますよ。

愛田 どおりで口で注意したところで、自分事として考えられていないから聞かないんですね。「お母さんうるさいな」くらいしか思われてなかったんでしょうね(笑)。早速取り入れてみようと思います!

専門家がすすめる、普段から持ち歩いておきたいアイテム

まめねこ 今回、Instagramのフォロワーさんに「どんな子どものケガが多いか」聞いてみたのですが、「加湿器をひっくり返して…」「炊飯器の蒸気が出てくるところに手を置いてしまった」など、「やけど」に関する回答が結構多くて。やけどの際にも前編でお話ししてくださったように、応急処置としてはアイシングではなくクーリングが正しいのですか?

北垣 おっしゃる通りです。痛覚を麻痺させて痛みをなくすために、受傷部位を冷やすことは大切なのですが、一生懸命1時間、2時間もずっと冷やし続ける必要はありません。長く冷やしたからといって、やけど自体に対しての治療効果が高まるわけではないので、10分ほど冷やしてあげれば大丈夫です。

愛田 私はフォロワーさんに「子どものケガ対策でしていること」を聞いてみたのですが、ケガするのは仕方がないから、いつでも対応できるように応急セットを持ち歩いているという方が多くて。専門家の視点から、普段から持ち歩いているといいアイテムってありますか?

北垣 以下のものを持っていれば、大体のケガの応急処置ができると思います。

■消毒液
前編でお話ししたように、噛み傷や刺し傷など消毒する際に応急処置として使用します。水道が無い場所で、砂利汚れを洗い流す事もできます。噛み傷は速やかに医療機関を受診しましょう。

■ガーゼ
傷口を抑えて止血したり、万能に使えるアイテムです。

■包帯
グッと巻けば止血でき、氷で冷やす場合でも、包帯の上からであれば冷やしすぎにならずに済みます。また、足の捻挫などにもぐるぐると巻いてしまえば固定になります。

■テーピング
あると便利なアイテム。例えば中指を突き指した場合、「人差し指と中指」もしくは「中指と薬指」、2本の指を一緒にぐるぐると巻けば、動かさないように固定することができます。

■綿球
鼻血が出たとき、ティッシュだと血を吸収して紙が縮まってしまい、止血するのがなかなか上手くいかないことも。ティッシュを詰めるよりも、綿球を使用した方がおすすめ。

■ワセリン
ちょっとした切り傷や鼻血のときに塗ると患部の皮膚を保護することができます。また、やけどの際には受傷したところが乾いてしまうと痛みが出るので、その皮膚の保護にも少しワセリンを塗ってガーゼで固定してあげるとよいです。

愛田 普段絆創膏しか持ち歩いていなかったので、とても参考になりました。早速“もしも”のために用意しようと思います。

まめねこ・愛田 本日はありがとうございました!

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