- 取材・文・編集:岩崎 幸
- 撮影:隼田大輔
- イラスト:Junko Suzuki
更新日:2024年10月23日
鎮痛薬や胃腸薬、目薬など、普段くすりをどう持ち運んでいますか? くすり以外の小物と一緒にポーチに入れていたり、バッグのポケットにそのまま直接入れていたり……など、その方法は人それぞれかと思います。でも、もしかしたら“誤った持ち運び方”をしているかもしれません。
今回はそんな意外と知らない「くすりの持ち運び方」にフォーカス。また、“使いやすさにこだわった”くすりの工夫も第一三共ヘルスケアの開発担当が紹介します。
<今回解説した社員>
第一三共ヘルスケア ブランド推進本部 OTC推進部 開発グループ
・横溝敦志さん
・森谷茉由さん
そもそも正しいくすりの持ち運び方とは?
くすりの変質や破損を避けるためにも、まず下記をしっかり守ってほしいです。(横溝)
① 遮光されていること
② 高温多湿になっていないこと
③ 強い衝撃が起こらないこと
では、具体的に3つのNG例をみていきましょう。
【NG例①】
<Aさんの持ち運び方>
鎮痛薬を、イヤホンなど小物類と一緒にポーチに直接入れている。
<ここがNG>
・くすりを傷つけてしまう可能性アリ
……くすり以外のモノと一緒にポーチに入れて持ち運ぶことはあると思いますが、おくすりシート(PTPシート)のまま直接入れてしまうと、アルミ部分が破れてしまう可能性があります。
ちなみに、おくすりシートが破れてくすりが出てしまったものに関しては、変質している可能性があるので服用は避けてください。(横溝)
【NG例②】
<Bさんの持ち運び方>
スマホケースの背面が収納になっており、胃腸薬や頭痛・生理痛用の痛み止め、絆創膏を入れて持ち運んでいる。
<ここがNG>
・スマホの熱が伝わって、薬が変質する可能性アリ
……長時間使用し続けていたり、充電したりする際など、スマホ本体が熱くなることがありますが、その熱がくすりに伝わって変質してしまい、くすり本来の効果が発揮できなくなる可能性があります。また、スマホを落としてしまうなど、外部からの衝撃を受けて破損しやすいのも心配です。(森谷)
【NG例③】
<Cさんの持ち運び方>
痛み止め、子ども用の絆創膏を薄めのポーチに入れています。
<ここがNG>
・耐水性がなく、直射日光にも注意
……メッシュ素材のポーチのようなので、水に濡れてしまう可能性がありますね。例えば、冷えたペットボトルと一緒にバッグに入れてしまうと、結露で濡れてしまうこともあるかもしれません。多湿な環境に置かれると、くすりが変質してしまう可能性があります。また、遮光性のない素材ですので、直射日光に当たってしまう可能性があります。(森谷)
意外とやっている!? この持ち運び方にも注意!
NG例以外にも、ついついやりがちなことが間違っていることも……。この方法はOKか? それともNGなのか? ふとした疑問にお答えします。
Q. おくすりシートに入った錠剤などをそのままコスメポーチに入れるのはよい?
A.コスメポーチの中は、アイシャドウやフェイスパウダーなどの粉が付着していたりと、思っているよりも不衛生な状態。衛生面を考えると、そのまま直接入れるのは避けた方がいいでしょう。また、他のモノとぶつかって薬が傷ついてしまう可能性があります。(森谷)
Q.目薬をバッグのポケットに直接入れるのはよい?
A.遮光袋が添付されている目薬については光による劣化を避けるために、必ず袋に入れて保管・持ち運ぶようにしましょう。遮光袋が添付されていない目薬については、バッグのポケットに直接入れても問題はありませんが、直射日光は当たらないように注意してください。また、遮光袋あり、なしの場合でも、成分の劣化につながるため高温となる場所では保管しないように気をつけてください。(横溝)
こんなところに使いやすさの工夫も!
持ち運びでいろいろNGがあることがわかりましたが、いずれも、くすりがきちんとその効果を発揮するために大事なことです。そうした効果を発揮できるように、くすりの使いやすさも改良しています。
例えば、くすりが入っているおくすりシート。飲み間違いを防げるよう「くすりの名前」「用法・用量」が一つ一つに記載されている製品もあります。
また、角が丸くなるようにすることで、フチで指などを切ってしまうのを避けることができる工夫もしています(※)。
※ロキソニンSプレミアムファインなど複数の製品で採用されています。
また、瓶入りタイプだけでなく、持ち運びに便利な分包タイプもある製品など、シチュエーションごとの使いやすさを踏まえて、製品を展開しています。
こうした工夫にも注目しつつ、くすりの特性を理解し、自分の症状に合ったくすりを選びましょう。
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