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夏って、どうして体がかゆくなるの!?

夏って、どうして体がかゆくなるの!?

July 1, 2016

  • 編集:健康美塾編集部
  • 文:小野貴弘
  • イラスト:小迎裕美子

更新日:2023年05月29日

夏になると、なんとなく、ときには猛烈に、体がかゆくなってくるのは気のせい?どうやら、これにはちゃんとした理由があるようです。今回は夏場に多く見られる皮膚のトラブル、しっしん・かぶれ・あせもをフィーチャーしていきます。

思い込みcase:1

なんだかかゆい!かゆい! かくのを我慢していればいいの?

かゆい部分をポリポリとかきむしるときの恍惚感といったら……あれ、最高にたまらない瞬間ですよね。かゆい部分に謎のバッテン印をつけたり、熱いお湯をかけたりする人もきっといるはず。でも、それってほんの一瞬の幸せ。かゆい部分を無駄に刺激しても、余計にかゆみが増したり、お肌を傷めたりするだけなんです。
では、逆にかかないのがいいからといって、かゆいまま放置しておくのが一番いいのでしょうか?いえいえ、無意識についついかいてしまったり、日中我慢していても、寝苦しい夜に一晩でかきこわしてしまったりと、悪化の原因になってしまうこともあるんです。

とっても悩ましいこのかゆみ。治療の近道は、皮膚用薬で「かゆみを抑え」、「炎症を抑え」、「皮膚組織を修復し」、汗などの原因をとり除くように「再発を防止する」ことなんです。

そもそも、どうしてかゆみが発生するのでしょうか?
今のような夏場の季節になると肌の露出が増えるので、刺激があるものに肌が触れやすくなって、かぶれてしまうことが多くなります。
もっと踏み込むと、皆さんの皮膚には肌の健康な状態を保ってくれる「バリア機能」というものが備わっています。この「バリア機能」を持っていても防ぎきれない、外部からの刺激で起こってしまうのがしっしんやかぶれです。刺激を与える原因には、洗剤や化粧品、汗、冷感・温感の他に、細菌感染や、花粉やハウスダスト、金属などのアレルギー反応の原因物質などがあります。
特に夏は、原因の中でも「汗」によって起こる「あせも(汗疹)」が増えるのが特徴です。

では、かゆみを放置していると、どうなってしまうのでしょうか?(そこまでして、自分をイジメぬく人はなかなかいないと思いますけど。)
かいているうちに炎症がひどくなり、かゆみの元となる成分・ヒスタミンをどんどん誘発し、いつの間にか我慢できないほど、かゆみが強くなってしまう場合があります。
これがかゆみのスパイラル。さらには「バリア機能」まで傷つけ、膿んだりして余計ひどくなってしまうことだってあるんです。
かゆみを感じたら、無理に我慢するのではなく、早い段階で、皮膚用薬を適切に使いましょう。
この皮膚用薬の役割は、ただ単にかゆさを紛らわすだけではありません。
「かゆみを抑える成分」のほか、「炎症を抑える成分」、「皮膚組織を修復する成分」等がバランスよく配合されているんです。
まずかゆみを抑え、かいてしまうのを防いでいる間に、肌のかゆみの原因を抑え、皮膚の機能を通常に戻す、これらの連携プレーが、かゆみのスパイラルに陥る前の治癒を可能にしてくれます。

そのかゆみはしっしん?かぶれ?違いがよくわからない!

思い込みcase:2

ステロイドってなんか怖いよね…… 少しよくなったらやめているけど、 それでいいのかな?

ここで、皮膚用薬に含まれる「ステロイド」に対する懸念というものが出てきます。イメージ的になんとなく怖いものという刷り込みがあって、使うのを躊躇してしまう人もいるかと思います。
でもちょっと待って!不透明な情報に必要以上に惑わされてしまうなんてもったいないこと。むしろ、ステロイドの薬効をうまく適切に活かせば、短期間でしっしん・皮膚炎を抑える効果が期待できるのです。

まず、ステロイドがどんな働きを持っているかをきちんと理解することが大切です。ステロイドとは、副腎皮質で作られるホルモンのことを指します。私たちの体の中で通常に作られる成分でもあるのです。
そのステロイドは、「抗炎症作用」と「免疫抑制作用」の重要な2つの働きを持ちます。「抗炎症作用」は、赤く腫れたり、むくんだり、痛みやかゆみを伴なったり、いわゆるしっしん等のときに起こる炎症による症状を抑える働きのことです。
もう一つの働きは「免疫抑制作用」です。体にとって大切な役割をする「免疫」も、過剰に働き過ぎるとアレルギー反応となり、皮膚のしっしんやかゆみ等を誘発する原因にもなります。その過剰に働き過ぎた免疫を抑制することで、アレルギー反応を抑える作用が「免疫抑制作用」です。ステロイドはこの「抗炎症作用」、「免疫抑制作用」にすぐれ、皮膚症状に高い効果が期待できる成分です。

すぐれた効き目を持っているからこそ、使用するうえで覚えておきたいコツが3点あります。(1)使用する期間 (2)塗る範囲 (3)ステロイドの強さ、です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

(1)ステロイド薬は効き目が鋭いので、すぐに効いたと思って塗るのを止めてしまう人がいますが、それは誤った使用法です。まずは発症する症状や使用部位にあった効果の高いランクの強いものから使いはじめて、かゆみや炎症が治まったら、弱いタイプやノンステロイドのものにシフトして、皮膚が元の状態に戻るまで様子を見るようにしましょう。
5、6日塗ってもよくならない場合には使用を中止してください。
怖がって初めから自分の症状に合わない弱いステロイドをズルズルと使い続けることの方が、かえって副作用が起こりやすくなります。
短期間に症状を改善させるため、まずは症状にあったランクのステロイドでしっかり効果を出し、治ってきたらランクを下げつつも完全に肌の状態を健康に戻しきることが大事です。

(2)広範囲に使用しないこと。症状が表れている患部のみに塗ってください水虫の思い込みあるあるで紹介した使い方と逆である点にご注意を)。手のひらの5枚分を越える範囲には使用しないでください。かゆければかゆいほど傷口に薬を刷り込みたくなってしまいますが、むしろ皮膚の刺激になるだけです。そこはグッと我慢して、軽く、薄く、塗るようにしましょう。

(3)ステロイドには、種類と体の部位、2つの意味で強さのランクがあります。まず種類。これはweak<medium<strong<very strong<strongestまで5段階あって、市販されているものは3段階目まで。strongが一番強いランクです。(詳しくはこちら
大人であれば、(1)で触れたように「短期間で肌を健康な状態に戻す」目的から、ステロイド薬に関しては自分の症状にあったランクのものから使っていくのが基本とされています。患部のレベルにあっていない弱いステロイドを使ってなかなか治らずに、無駄に長く続けてしまう方が逆に治りを悪くしてしまいます。
また効き目の強さが、使う体の部位によっても変わってくることも覚えておきましょう。皮膚の部位によって薬の吸収率は異なり、腕の内側を1としたときに、背面は1.7倍、頭皮は3.5倍、頬はなんと13倍の浸透率!
こうした点から、ステロイドを配合した製品を使うときには、使える使用部位について添付文書の注意書きを必ずチェックするようにしましょう。

最後にもう一つだけ、覚えておきたいことがあります。それは、悪化した患部に万能なイメージがあるステロイドですが、細菌感染による症状にはステロイドは逆効果ということ。最初に説明したように“ステロイドは免疫を抑制”するので、細菌が逆に元気いっぱい&繁殖しやすい環境を作ってしまうのです。
見極めるポイントは、傷口が化膿しているかどうか。傷の周囲がじゅくじゅくしていたり、腫れたり、と化膿の兆候が見られた場合はステロイドを使わずに、抗生物質が配合されたものを使用してください。(化膿した傷について、詳しくはこちら

こうした皮膚用薬の成分の違いについて疑問に思ったら、店頭で薬剤師さんに聞いてみましょう。悩みながら自己流ケアをズルズル続ける、なんてことが無いように。

ちょっと長くなりましたが、いかがでしたでしょうか?
かゆみは、原因を取り除きつつ、症状が出てしまったら皮膚用薬で早めのケアを。
正確な知識と、適切な対処で、夏を謳歌していきましょう♪

しっしんやかぶれの予防策ってあるの?

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