- 編集:健康美塾編集部
- 文:小野貴弘
- イラスト:小迎裕美子
更新日:2024年06月03日
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災害時に市販薬を備えておいた方がいい 「3つの理由」とは?
災害に備えて普段から「常備薬」を!
地震や川の氾濫による水害など、日本では毎年のように大規模な自然災害が発生しています。災害への危機感が年々高まっていく中で、防災対策をしっかりされている方も多いかと思いますが「防災セットは持っているけど、市販薬も必要……?」と思う方もいるかもしれません。今後、有事が起きたことを想定して、防災観点で市販薬を備えた方がいい理由がいくつかあります。
〈理由1:災害時の医療現場の逼迫〉
災害時においては、病院側は命にかかわる状態の方を優先したり、医師が救護のため現場に向かうこともあるので、状態によっては必ず治療を受けられるとは限りません。また、かかりつけ医が休診の場合も考えられます。
〈理由2:店舗に物資が届かない・入手困難〉
災害の影響で物流がストップしてしまう可能性もあるため、災害発生後から時間がだいぶ経っても物資が手に入らず、必要とするものがお店になかなか入ってこないケースも十分に考えられます。さらには、そもそもお店自体が閉まっている場合も少なくありません。
〈理由3:避難所への避難より、在宅避難する場合も多い〉
災害=避難所を思い浮かべる方も多いかと思いますが、実際には在宅避難のケースが多いのが現状です。避難所に避難するケースは、自宅が倒壊して住めなくなった方、あるいはその恐れがあるときや、ライフラインが断たれて孤立状態になるときなどが挙げられます。
こういったことからも、災害発生後、自宅に留まって避難生活をする際に起こりうる“体調不良への備え”ということもしっかり考えておくべきかと思います。
これからは「必要な薬は必要なときにドラッグストアで買えばよい」という考えではなく、災害時や緊急時のような「いざというときに使える常備薬」の考えがますます大切になっていきます。もちろん、災害時に限らず、日々の生活の中で予期せぬケガや急な発熱・食あたりによる下痢、肌のかぶれなど、日常的なトラブルにも常備薬が役立つことがあるはずです。
薬はある日突然必要になるからこそ、普段からの常備が大切です。今、このタイミングで改めて「常備薬」の大切さを見直してみませんか?
思い込みcase:2
災害シーンを想定した「常備薬」 あると安心な市販薬って?
災害時にはどんなシーンが想定されるのか?
災害時に想定されるシーンは、どのようなケースが考えられるのでしょうか? 具体的な状況下に合わせて必要となる常備薬の種類を紹介していきます。
(1)突発的なケガ(きり傷・すり傷)
例えば、地震で部屋の家具が倒れたり、ガラスやグラス類が割れてしまったり、または倒れてしまった家具類の片付けのときなどにケガをしてしまうことも。この場合には「消毒薬」が有用です。二次感染を防ぐ殺菌作用のほかにキズの修復を促進してくれる成分が配合されているものもあります。
(2)発熱や風邪症状、頭痛・生理痛
避難所や在宅避難といった日常とは異なる状況下での生活が続く中で、急な発熱やかぜ症状などで体調を崩すこともあります。特定の症状に効果のあるものではなく、かぜの諸症状全般に幅広く効く「総合かぜ薬」を常備しておきましょう。子ども(7歳以上)から大人まで服用できるものもあるので、ご家族用には服用年齢も確認して選ぶと安心です。
また、急な発熱、頭痛や生理痛のある方にも有効な「解熱鎮痛薬」も用意しておくとよいでしょう。
(3)お腹の調子を壊す
避難所での慣れない1日のサイクルや食生活、そして不安やストレスなどでお腹の調子を崩すこともありますので、胃腸の消化を助ける「胃腸薬」を用意しておきましょう。また、緊張状態が続くと下痢や便秘にもなりがちなので、お腹の調子を崩しやすい人は「下痢止め」もあると安心です。
(4)肌のバリア機能低下による炎症・肌荒れ
肌のバリア機能が低下した状態だと、細菌などが侵入しやすくなります。そこから皮膚炎などの炎症を起こしてしまうことも。炎症や痒みを伴う肌荒れを防ぐためにも、皮膚を保護する「皮膚治療薬」を1つ持っておくといいでしょう。
(5)オーラルケア不足による口内炎
避難所⽣活では、オーラルケアが後回しになりがちです。栄養が十分取れず、口内炎になる可能性もあります。例えば、水がなくても口腔ケアができる「液体歯みがき」のようなオーラルケア用品があると、口の中を清潔に保つことができて便利です。
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防災時に常備薬を選ぶポイントって? 薬の見直しもお忘れなく!
常備薬を選ぶときのポイント
次に押さえておきたいのが「常備薬を選ぶときのポイント」です。大きく分けて「保管のしやすさ」と「服用のしやすさ」の2つがあります。
例えば、冷所保存など保管に注意が必要なものは常備薬としては向かないので、「保管のしやすさ」という観点で、室温保管でも保管可能なものを選ぶようにしましょう。
そして災害時には断水などの理由で、水が限られた量しか使用できないといった状況も考えられます。計量が必要なものや服用時に多くの水を必要とするものは、避難用の常備薬としては向いていないので、水がなくても服用できる「服用のしやすさ」で薬を選ぶのも大事です。
また、災害時には市販薬も処方薬も最低でも「3日間分」の用意が必要とされています。「災害発生の3日間」にケガや病気が起きやすいとも言われているので、最低でも「3日間分」の常備薬を用意するようにしましょう。
最低限の救急用品の準備と、使用期限の見直しを今一度
市販薬以外にも、最低限の救急用品は一緒に準備しておきたいものです。絆創膏、マスク、体温計、ガーゼ、除菌ウェットティッシュなども必須アイテムです。また、避難所生活を想定して、使い捨ての手袋や廃棄をするときのポリ袋も用意しておくといいでしょう。
そして、3月1日、6月1日、9月1日、12月1日は「防災用品点検の日」とされています。年4回、季節の変わり目に使用期限のチェックをおこなうサイクルを取り入れることもおすすめします。
自然災害の頻度が年々増えている今だからこそ、自分たちにもできる「備え」をさらに意識していきましょう。
※本記事の参考
災害に備えて救急箱を持とう|くすりと健康の情報局
(より詳細な情報を知りたい方は、上記ページもご覧ください。)
【常備しておきたいお薬リストの一例】
■殺菌消毒薬
・マキロンs
「スプレー式」と「洗浄式」2通りの使い方が可能
■総合かぜ薬・解熱鎮痛薬
・新ルルAゴールドDXα
7歳から服用可能な総合かぜ薬
・ロキソニン解熱鎮痛薬シリーズ
頭痛・生理痛・歯痛に速くよく効くラインアップ
・サリドンエース
7歳から服用可能な解熱鎮痛薬
■胃腸薬
・第一三共胃腸薬シリーズ
胃にも腸に効く「第一三共胃腸薬プラス」など
・ガスター10
胃痛・もたれなどの胃の不快な症状に
■下痢止め薬
・エクトール赤玉
3歳から服用可能
■皮膚用薬
・ベトネベートクリームS
つらいかゆみ、湿疹、皮膚炎の治療薬
・クロマイ-P軟膏AS
化膿を伴う湿疹、皮膚炎に
■うがい薬
・トラフルクリアウォッシュ
口内トラブルを何度も繰り返す方のための口中洗浄液
■液体歯みがき
・クリーンデンタル 薬用リンス トータルケア ノンアルコールタイプ
9つのはたらきをひとつにした液体歯みがき
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