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パートナーの口臭が気になったらどうすればいい?高山都・安井達郎夫妻が歯科医師と考える

November 5, 2024

  • 取材・執筆・編集:原里実
  • 撮影:大畑陽子
  • 編集:森谷美穂(CINRA, Inc.)
  • 監修医師:高島美祐先生

更新日:2024年10月28日

口臭予防の基本の「キ」は、歯ブラシとフロス

安井:ぼくはランチのあとの歯磨きが抜けてしまうこともあるので、注意したいなと思いました。フロスは大好きなので、いまの調子で続けていきたいですね。

高山:このあいだ親知らずを抜いたときも、「しっかりフロスをしてるからきれい」って先生に褒められていたよね。

高島先生:そう、歯ブラシだけではなく、フロスも非常に大事なんですよ。リスク部位としては、やはり歯の表面よりも歯と歯のあいだなので。

高山:私も夫のフロスをたまに借りるんですが、あまり上手に使えなくて。糸の端を指に巻きつけて……とかいいますけど、奥のほうまで上手にやるのはなかなか難しいですよね。

高島先生:そうですね。まずはぜひ、専門家と一緒に練習してみてください。糸を扱うのに難しさを感じている方は、プラスチックの持ち手がついたタイプでもいいと思います。「Y字型」のタイプは、奥の歯まできれいにしやすいのでおすすめです。

高山:なるほど。あとじつは今日、先生にお聞きしたかったのが、最近加齢とともに口のなかが痩せて、隙間が増えているのを感じるんです。すると食べたものが挟まりやすくなって、口臭の原因にもなりますよね。その予防ってどうしたらいいんでしょうか。

高島先生:そうですね。隙間が大きくなるのは、食いしばりが原因のこともあります。あとは歯ブラシをするときの力が強すぎても、歯肉が下がる原因になります。

高山:なるほど! 私は電動歯ブラシを使っているのですが、それが少し強すぎたのかもしれないです。

高島先生:私は、歯磨きは基本的に手磨きで、歯肉が削られにくい柔らかめの歯ブラシを使って行なうことをおすすめしています。また、歯茎が下がると歯の根っこが露出してくると思うのですが、最初から出ている「エナメル質」と違って、下がって出てきた部分は「セメント質」といって、すごく柔らかいんです。だから、エナメル質を磨くのと同じ力で磨くと、削れてきてしまうんですよ。

口は「健康の入口」。天然の歯を残しておくことの大切さとは

—先ほど口臭の原因として歯周病のお話もありました。もし、自分が歯周病かもしれないと思ったら、受診の目安になるものはありますか。

高島先生:歯周病だけでなくお口の疾患すべてにいえることですが、悪くなる前にきちんと専門家を味方につけていたほうが安心です。ですから、気になる症状が何もなくても、日頃から検診に行くことをおすすめします。特に歯周病は気づかないあいだに進行してしまい、気づいた頃にはもう手遅れということもあります。

歯周病って、じつはとても怖い病気なんですよ。歯と歯茎の隙間を「歯周ポケット」といい、それが深くなっていくと、なかで歯周病の原因菌が繁殖するわけですが、この歯周ポケット内で繁殖する細菌のなかには、大腸がんの原因になるものもあるんです。口のなかから飲み込んだ菌は、もちろん胃酸で死ぬものもありますが、一部は大腸まで届いてしまう。

また、歯周病が原因で、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった、血管が詰まる病気になりやすくなるともいわれています。歯茎というのは毛細血管がたくさん集まっているので、その血管に細菌が入り込み、身体中を巡って、詰まる原因になってしまうんです。

高山:お口と大腸や心臓、脳……。ぜんぜん違う場所にあるようで、すべてつながっているんですね。

高島先生:そう、口は「健康の入口」なんですよ。

高山:食べ物の入口も口ですものね。美味しいものを美味しく食べられなくなってしまうと、痩せてきてしまったりして、老化を感じさせることにもつながりやすいから、ちゃんと自分の歯で食べられるというのはとても大事。若々しさを保つ秘訣なのかもしれないね。

安井:本当にそうだね。

高島先生:しっかり咀嚼しないと、栄養も吸収されにくいですからね。食べるにあたって、「自分の歯を残しておく」ということはとても大事です。いまはインプラントを入れている方も多いですが、インプラントでは歯と骨のあいだにある「歯根膜」というセンサーがないため、食べたときの繊細な食感は天然の歯と同じようには感じられないんです。

すると、インプラントではなく天然の歯の部分ばかりで咀嚼するようになって、つかう歯に偏りが出てきてしまうこともあります。

高山:すると、全身の歪みの原因にもなりますよね。

高島先生:そうなんですよ。

安井:ほんとに、歯って大事なんですね。

「夫婦で歯科検診」のススメ。夫婦で明るく健康に向き合うには?

—もしパートナーの口臭に気づいたら、どのように声かけするのが良いでしょうか。

高山:ちょっとポップに、あまり深刻にならずに言えるといいですよね。私はよく「歯磨きした?」って聞きますね。露骨に「臭い」とかって言われるのは、相手も嫌かなと思って。

高島先生:ちょっとデリケートですよね。私もよく夫に、「歯磨きした?」は聞きます。

安井:そうかぁ。でも口臭に気づいたら、ぼくはちゃんと教えてほしいかも。

—「口臭に気づいたら言ってね」などとあらかじめ伝えておけば、相手も気づいたときに言いやすいかもしれないですね。

安井:たしかに、それはありますね。他人は絶対言ってくれないから、パートナーにしか頼めないことですよね。

高島先生:もし、「パートナーの口臭が気になるけれど声をかけにくい」という方がいたら、「一緒に歯科検診に行かない?」って誘ってみるのもおすすめです。検診に後ろ向きな人だと、予約すること自体腰が重かったりもするから、「私が予約しとくね」くらいに進めてしまってもいいかも。

安井:それはいいですね。

高山:ね。食事に行くみたいに「一緒に行こう」って気軽に誘えたら、夫婦で明るく健康に向き合えそうですね。

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