- 取材・執筆・編集:原里実
- 撮影:大畑陽子
- 編集:森谷美穂(CINRA, Inc.)
- 監修医師:高島美祐先生
更新日:2024年10月28日
みなさんは、夫婦やパートナー同士で、お互いの健康について話し合うことがありますか? 大切な人と長く一緒にいるために、自分だけではなく相手の健康にも気を配っていきたいもの。口の健康は全身の健康に直結するといわれており、なかでも「口臭」は虫歯や歯周病など病気の可能性も秘めていますが、デリケートな話題でもあるため、相手を思いやるからこそ話しにくいと感じる人も少なくないでしょう。
本記事では、ともにモデル・俳優をはじめ幅広い分野でご活躍されている高山都さん、安井達郎さんご夫妻と、歯科医師の高島美祐先生をゲストにお迎えし、「お口の健康に夫婦で向き合うには?」をテーマにインタビュー。
口臭の原因や対処法をはじめ、パートナー間でのコミュニケーションの秘訣など、今日から参考にしたい話題についてたくさん語っていただきました。
小さなモヤモヤも、溜め込めば相手をひどく傷つける言葉になってしまう
—お二人は、夫の安井さんがYouTubeで公開しているVlogでも日常の姿を発信しています。普段コミュニケーションを取るにあたって大切にしていることや、気をつけていることはありますか。
高山:いちばん近くで本音を話せる相手だという意識は、お互いにあると思います。できるだけ嘘をつかず、機嫌のいいときも悪いときも、あまり包み隠さない状態でいたいなという気持ちはありますね。
安井:もちろん人間なのでいろんな感情や状態のときがありますが、基本的にぼくは全部受け入れるというか、相手に対してリスペクトをつねに持つように心がけています。
高山:あとは、言いたいことがあるときは、都度その場で言うようにしています。心のなかの小さなモヤモヤも、長く内に溜め込んでしまうと、いざ外に出したときに相手をすごく傷つける言葉になったりしますよね。それを避けるには、感情の「鮮度」を大事にしたコミュニケーションが大切だと思います。
安井:そうだね。ぼくも日々「話すこと」は大事にしています。まだ結婚して2年くらいなので、わからないこともたくさんあるし、「いままでと違う方向性で伝えてみたけど、あまりうまくいかなかったな」っていうこともあります。試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ相手を知っていっていますね。
妻の機嫌がどうにも悪いタイミングが周期的にあるぞと気づいて、集計してみたら……
—健康や体調についても、話題にされることはありますか。
高山:はい。夫はもともと、私よりも若いのに健康への意識が高くて。私も40歳を過ぎて、いろいろなところで年齢を実感することが増えてきました。健康は、食をはじめとする生活習慣の影響がとても大きいので、お互いの体調もできるだけ共有し合うようにしています。
安井:本当に、なんでも話すよね。
高山:私の生理のこととかも、達郎くんは自分のスマホに周期を管理するアプリを入れて、お知らせが来るように設定してくれているもんね。
女性って毎月の月経によって、ホルモンバランスの変化でいろんな揺らぎがあるじゃないですか。私は感情の波がすごく大きいタイプで。それで、面白かったのが……知らないあいだに、達郎くんが私の統計を取っていたんですよ(笑)。
安井:彼女としばらく一緒にいるなかで、どうにも不機嫌、何を言ってもダメなときが、どうやら周期的にあるぞということに気づいたんです。それで集計してみたら、3か月連続で、生理のはじまる10日前に「それ」が来ることがわかりました。
高山:言われてみたら、不思議なことに、いつもジャスト10日前なんですよ。私自身は気づかず、ただ感情の波に飲まれていました。でも自覚を持てると、「これは、例の『鬼』のせいだな」とわかって、機嫌の悪い自分を少し客観視できるようになりました。
安井:ぼくも最初は、辛く当たられて腹が立ったり落ち込んだりしていたけど、原因がわかると納得できました。「じゃあしばらく、嵐が去るまで待つか」と。ぼくは男子校出身で、兄弟も男しかいなくて、女性と長く生活することがなかったので、「知らないことを教えてくれてありがとう」って気持ちです。
歯科医が教える、口臭の原因となる細菌を増やさない習慣づくりとは
—本日のメイントピックのひとつは「口臭」ですが、お二人はご自身の口臭が気になったことはありますか。
高山:そうですね。仕事柄、ヘアメイクさんやスタイリストさんなどと顔の距離が近づくことが多いので、自分の口臭がにおったらどうしようという思いはつねにありますね。
仕事の現場によっては、お昼を食べたあとなかなか歯磨きができない環境もあったりするので、口の前に手をやって「はーっ」としてみて「うん、大丈夫かな」とか、自問自答していることは結構あります。
安井:やっぱり気になるよね。口臭って怖いのが、自分で気づくのが難しい。そのうえ、もし相手が気になったとしても絶対に言ってはくれないし、わからないからこその怖さがありますよね。
高山:自分が臭いと思われることも嫌だけど、そもそも相手に不快な思いをさせるのも嫌だよね。だから結婚してからはよく夫に、「歯ブラシ持った?」「歯、磨いた?」と、出かける前の持ち物検査みたいな感じで声をかけています。
安井:おかげで妻と暮らすようになってからは仕事現場にも歯ブラシを持っていくようになりました。
—高島先生におうかがいしたいのですが、そもそも、口臭の原因にはどういったことがあるのでしょうか。
高島先生:まず、口臭は内臓の病気を由来とするものなどからだのなかに原因のあるものを除いて、約8割から9割は、お口のなかに原因があるといわれています。
高島先生:お口のなかで何が口臭を引き起こすのかといえば、細菌です。細菌は、一日のなかで増えたり減ったりします。自浄作用といって唾液の流れで自然と押し流されたり、食事をして食べ物で歯がこすれたり、歯磨きをしたりすることによって、細菌は減ります。
ですから口臭がするときというのは、その逆。食事や歯磨きからしばらく経ったときや、唾液の分泌が減って口のなかに水分が少ないとき、また、ストレスによって唾液がねばねばになってしまい、自浄作用が働きにくくなったときなどに、細菌が繁殖し口臭が強くなります。それから、歯周病など歯の病気が進行した場合にも、独特の口臭が発生します。
—口臭を減らすためには、どういったことに気をつけると良いのでしょうか。
高島先生:基本的には、口のなかの細菌を減らすことですね。まずは毎食後の歯ブラシとフロス。フロスは、毎回が難しければ、夜寝る前には必ずやってみてください。寝ているあいだは唾液が少なくなりがちなので、夜はしっかり歯磨きして、口のなかが渇きすぎないようコップ一杯のお水を飲んでから寝るなど、細菌が繁殖しにくい環境を整えることが大切です。
それから、マウスウォッシュを取り入れるのもおすすめです。口のなかの細菌のうち、歯の表面にいる細菌は25%で、粘膜の上にいる細菌が75%といわれています。ですから、粘膜上の細菌に対しては、殺菌作用のあるマウスウォッシュが効果的です。
あとは、食習慣、生活習慣の見直しですね。タバコを吸う方や、ジュース、お砂糖やミルクの入ったコーヒーを頻繁に飲む習慣がある方は要注意。そうでない方も、お水を取る量が少ないと唾液の量が少なくなって細菌の繁殖が起こりやすいので、目標は一日1.5リットル以上の水分を取ることといわれています。
—口のなかの細菌を増やさない習慣づくりが大切なのですね。
高島先生:そうですね。例えば日中、なかなか歯磨きができないとか、特に口臭が気になるときがあれば、キシリトール100%のガムを噛むなどもおすすめです。
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