やけどは誰でも一度は経験するほど、よくある日常的なケガの一つで、熱湯や火、電流、薬品などに触れたときに起こります。からだを守る皮膚が損傷するため、適切に処置しないと、感染症などの合併症を起こす場合があります。
やけどは、熱や化学薬品などによって、皮膚や組織が損傷された状態をいいます。皮膚は本来、体内に菌が侵入するのを防ぎ、水分や体温を保持するはたらきをしています。やけどを負うとこのはたらきが失われ、ひどいやけどでは、感染症や、血圧・体温が低下するなどの合併症を引き起こすこともあります。
やけどの種類は、原因によって以下の4つに分類されます。
家庭でのやけどは、ほとんどが温熱やけどによるものです。
やけどの症状は、皮膚が損傷を受けた深さ(深度)や広さ(面積)で変わります。見た目では軽く見えても、皮膚の奥まで損傷していることもあるので注意しましょう。
皮膚の損傷を受けた深さによってI~III度に区分されます。
深度 | 外観 | 症状 | 治療期間 |
---|---|---|---|
I度 | 発赤、紅斑 | ヒリヒリする痛み、熱感 | 1週間以内 |
II度浅在性 | 水ぶくれ、発赤、びらん | 強い痛み、灼熱感 | 2週間程度 |
II度深在性 | 水ぶくれ、表皮脱落、白色~ピンク色 | 強い痛み、知覚低下 | 2週間から数週間 |
III度 | 白~黒色で乾燥、毛が抜けやすい | 痛みなし | 皮膚再生しない |
やけどした広さの判定は、大人と子どもで違います。大人ではからだの1部位を9の倍数とする「9の法則」、子どもでは5の倍数とする「5の法則」に基づいた以下の図を参考に、やけどを負ったからだの部位に書かれた数字(%)で広さを判断します。やけどがとびとびの場合は、手のひらの大きさを1%として概算します。
深度II度以上のやけどを、大人では全身の20%以上、子どもは10%以上負った場合、広範囲のやけどとみなされ、合併症などを引き起こすおそれがあります。