基本的にアトピー性皮膚炎には医師による治療が不可欠ですが、悪化原因を知り生活から取り除くこと、日頃の適切なスキンケアで皮膚のバリア機能の低下を防ぐことは、家族や自分自身で行っていくべき大切なことです。適切な治療と環境整備を同時に行っていきましょう。
アレルギー症状を起こす原因(アレルゲン)となる物質は、ダニ、ダニの死骸、ペットの毛やフケ、チリ、ほこり、カビ、花粉、食物など数多くあり、人によって異なります。検査をしても、原因がはっきりわからないこともあれば、逆に、どのアレルゲンにも反応が高く、原因の特定が難しい場合もあるかもしれません。
ただし、原因がわかっている場合はできるだけ除去する努力や工夫をすることが大切です。
以下に、ほこりやカビ、ダニなどを除去し、皮膚への刺激を減らすために家庭環境を整える具体的な方法をあげます。ただし、日常生活のなかで、ほこりやダニを完全に排除することは不可能に近いでしょう。ストレスを抱えるほど神経質になるのではなく、より“清潔な環境”を心がける意識が大切です。
アトピー性皮膚炎の皮膚は乾燥しやすくバリア機能が低下しています。炎症がおさまっているときも油断せず、毎日のスキンケアをしっかりして再燃を予防することが大切です。スキンケアの基本は「清潔」と「保湿」です。
私たちの皮膚には、汗やほこり、雑菌など多くの汚れがついています。汚れがついたままの状態が長く続くと、その刺激で炎症やかゆみがひどくなったり、雑菌などによって感染症を起こしたりしやすくなります。
汚れを落として清潔にする行為と、皮膚を剥がす行為は、目的が別です。まずは、毎日の入浴やシャワーで皮膚表面の汚れをこまめに洗い流し、清潔にすることを心がけましょう。
なお、熱すぎる湯に長くつかると皮膚が乾燥しやすくなるので注意しましょう。冬場でも39℃程度を目安に、(身体が冷えない程度に)少しぬるいくらいが皮膚にとっては、適温です。
洗浄後は保湿剤でしっかりうるおいを補給することが大切です。保湿剤は、刺激が少なく使用感のよいものを選び、たっぷり塗りましょう。強くこすらず、手のひらで皮膚全体に広く伸ばすようにやさしく塗るのがポイントです。
保湿剤は入浴後だけでなく、外出の前後など、皮膚の乾燥が気になるときに1日数回塗ることをおすすめします。
腰やすね、太ももは他の部位に比べ、汗腺や皮脂腺が少ないため乾燥しやすいだけでなく、衣類との摩擦が多いため、刺激を受けやすく、かゆみが起こりやすい部位でもあります。保湿剤の塗り忘れのないように、気をつけましょう。