小さなケガは日常生活につきものです。浅い傷は皮膚に本来備わっている自然治癒力によって数日で治ることも多いのですが、細菌に感染して傷口が膿んでしまう「化膿」の状態が長引くと、治りが遅くなります。きちんと手当てして、早く元の皮膚に戻しましょう。
戸外で転んだり、カッターナイフ、ガラスの破片などの鋭利なもので切るなど、外からの力で皮膚が削れたり裂けたりして組織が壊れ、正常な皮膚の機能を果たせなくなった状態が「傷」です。釘やトゲ、薄い紙、植物の葉などで傷を負うこともありますし、かき傷・靴ずれなどもこうした傷の一種です。傷で血管が切れると出血します。
傷の深さや場所によっては、数日の間に周辺が赤く腫れて痛んだり、熱を持つなどの「炎症」がみられることもあります。これは、傷を治そうとして皮膚の細胞や血管がはたらく正常な生体反応として起こる場合もありますが、細菌に感染して起こる場合もあります。
皮膚が傷つくと、自然治癒力により、細胞や血管が皮膚の修復に向けてはたらきます。
「虫さされ」によるかみ傷の場合は、こちらもご参照ください。
通常は上の図のように、人間の皮膚が持つ自然治癒力によって傷のまわりに細菌が存在しても感染は起こらず、傷が治って元の皮膚に戻ります。
ところが、傷口が汚れていたりすると、付着した異物や壊死した皮膚組織などから細菌が感染して炎症を起こし、赤く腫れて痛み、膿が出てきます。これが「化膿」です。また傷が深い場合には、皮下深くに細菌が入りやすく、あとから化膿することもあります。膿は、細菌をやっつけるために戦って壊れた白血球や、死んだ細菌などを含んだ液体で、通常の体液と違って粘りや臭いがあり、黄色や緑色などの色がついています。原因となる細菌は、主にブドウ球菌・連鎖球菌・緑膿菌などです。
いったん化膿すると、傷の治りが遅くなるばかりか、周辺の部位に感染が広がったり、体の抵抗力が低下している場合は敗血症など全身の疾患につながるおそれもあります。
傷口が細菌に感染すると化膿します。
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