歯周病には、症状が歯ぐきで収まっている歯肉炎から、進行した状態の歯周炎まで段階があります。軽い歯肉炎であれば歯みがき習慣を見直すことで改善が可能ですが、歯周炎まで進行している場合は歯科での治療が必要です。口臭がある、歯肉から血が出るなどの症状がみられたら、早めに受診しましょう。
下記のチェック表でひとつでも当てはまれば歯周病の場合があります。知らないうちに悪化し全身疾患にまで発展するおそれがあるので早めに診てもらいましょう。
特に(6)~(10)のような症状がみられる場合、歯周炎まで進行している可能性があるので、すぐに受診しましょう。
また、糖尿病など持病がある人も症状を悪化させるおそれがあるので早めの受診をおすすめします。
歯周病の治療では、病院で行うプロフェッショナルケアと家で行うセルフケアの両方が大切になります。歯や歯ぐきの健康維持のため、治療後のケアや定期的な歯科医院でのチェックも大切です。
少しでも気になる症状があれば放置せず、まずは病院で診てもらった上で、適切なセルフケア(予防のページを参照)を行って歯周病が進行しないように心がけましょう。
歯周病治療用には、医薬品として、殺菌成分や抗炎症成分などを配合した軟膏やペースト状の外用薬が出ています。指や歯ブラシにつけて歯ぐきに塗るものです。また、症状をやわらげるため、抗炎症成分やビタミンC、Eなどを配合した内服薬もあります。
予防用には、毎日のブラッシングを助ける歯みがき剤を使います。一般に市販されている歯みがき剤の中に、歯肉炎・歯周炎予防の薬用成分を配合した医薬部外品の製品があります。細菌の増殖を抑えたり、歯ぐきの炎症を鎮めたり、歯質を強化するフッ素などが配合された歯みがき剤を使うと、より効果的に歯周病の進行を予防できます。歯石ができにくくなったり、歯ぐきの血流をよくする成分などが配合されているものもあります。
主な成分を下に紹介します。このほかデンタルリンスなども併用するとより効果的です。
分類 | 成分 | 作用 |
---|---|---|
殺菌成分 | イソプロピルメチルフェノール(IPMP) | 歯周病の原因菌の巣(バイオフィルム)の奥まで浸透、原因菌を殺菌 |
塩化セチルピリジニウム(CPC) | 主に口腔内の細菌の増殖を抑え、歯垢形成を防ぎ、口臭予防 | |
ラウロイルサルコシンNa(LSS) | 歯周病の原因菌を殺菌、口臭予防 | |
塩化ベンゼトニウム | ||
トリクロサン | ||
抗炎症成分 | β-グリチルレチン酸 | 歯ぐきのはれを抑え、歯周病を予防 |
ε-アミノカプロン酸 | 歯ぐきの炎症を促進させるプラスミンの増大を抑え、歯ぐきのはれ、出血を防ぐ | |
トラネキサム酸 | ||
血流改善成分 | 塩化ナトリウム | 収れん作用・血流循環促進作用により歯ぐきをひきしめ、歯周病を予防 |
トコフェノール酢酸エステル(ビタミンE) | 歯ぐきの血流を促進し、歯周病を予防 | |
洗浄成分 | ゼオライト | 唾液中のカルシウムを取り除き、歯石の沈着を防止 ニオイ成分を吸着し、口臭を予防 |
PEG-8(マクロゴール400) | たばこのヤニなどの色素沈着物を溶解、歯を白くする | |
歯質強化成分 | フッ化ナトリウム(フッ素) | 歯の再石灰化を促し、酸に強い歯質を強化し、虫歯の原因菌に作用して酸の生成を抑制することで、虫歯を予防 |
モノフルオロリン酸ナトリウム(フッ素) | ||
代謝補助成分 | ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6) | 歯周組織の代謝を助ける |
抗酸化成分 | アスコルビン酸(ビタミンC) | 抗酸化作用、出血予防などに関わる |
80歳になっても20本以上自分の歯を保つことで豊かな生活をとの考えから、平成元年に厚生省(現厚生労働省)と日本歯科医師会により提唱された運動が「8020運動」です。
なぜ20本なのか?というと、20本以上自分の歯が残っていれば、ほとんどの食べ物をかみ砕くことができ、健全な食生活をおくることができるからです。8020推進財団の調査によると永久歯の抜歯原因は、虫歯が32%なのに対し歯周病は42%という結果が出ています。80歳になっても自分の歯で豊かな食生活を楽しむためにも早いうちからの歯周病ケアを心がけましょう。
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