皮膚のブツブツ、赤み、水ぶくれ……。湿疹・皮膚炎は、代表的な皮膚のトラブルで、「かぶれ」・「じんましん」・「あせも」といった種類があります。かゆみの強さや化膿の有無などで、使用する薬剤のステロイド成分の強さや効果的な配合成分が変わってきますので、症状を正しく理解して適切なセルフケアで早めに対処しましょう。
皮膚は薄い一枚の皮のようにみえますが、表皮、真皮、皮下組織の3つの層からできています。
一番外側の表皮は、日光(紫外線)、ほこり、細菌、ウイルスといったさまざまな異物から体を直接保護しています。
真皮には汗腺や血管などが走り、皮膚に弾力を与えています。
その内側で皮下組織が皮下脂肪で体を守り、エネルギーの貯蔵庫にもなっています。
こうして皮膚が体の外壁として日常的に外の刺激から体を守ってくれています。
ただし、このバリア機能をもってしても防ぎきれない外部からの刺激や、特定の原因物質が刺激となることなどで起こるのが湿疹・皮膚炎で、具体的な症状名として「かぶれ」「じんましん」「あせも」などがあります。
かぶれは、合成洗剤や金属、化粧品、衣類など、刺激を与える物質やアレルギー源となる物質との接触で起こります。身のまわりにあるさまざまなものが原因になり得ます。またじんましんは特定の食材や薬、感染症など、あせもは多量の汗が原因となります。
細菌が皮膚に侵入すると、身を守るためにさまざまな細胞が攻撃態勢に入ります。好中球は細菌の侵入部位に向かい、マクロファージが菌を食べ、リンパ球が抗体を出して攻撃をしかけます。そのときに出る生理活性物質の働きで炎症が起こります。
アレルギー反応とは、ほこりや花粉などが原因としてよく知られていますが、その人の体質により原因の異なる特定の物質(植物・金属・薬品・化粧品・衣類など)がアレルゲン(アレルギー反応を起こす原因物質)として異物と認識され、過剰に免疫反応を起こしてしまう状態です。アレルゲンに対して抗体ができてしまうと、次にアレルゲンが入ってきたときに、抗体が付着した肥満細胞からヒスタミンという物質を放出し、炎症やかゆみを起こします。
アレルギー体質の人が、乾燥やストレスなどで皮膚のバリア機能が低下すると、皮膚炎を起こしやすくなります。
湿疹とは、皮膚に炎症を起こす病気の総称です。かぶれは正式には「接触皮膚炎」と呼ばれ、"湿疹の中でも、外部からの刺激によることがはっきりしている場合"をいいます。
かぶれには、原因となる刺激物質(化学物質や合成洗剤など)が皮膚に接触することによって炎症が起こる「刺激性接触皮膚炎」と、特定の物質にアレルギーを持っている人だけに起こる「アレルギー性接触皮膚炎」に大別されます。かぶれると、原因となる物質に触れた場所に、かゆみ、赤み、ブツブツ(丘疹)、水ぶくれ(小水疱)などの症状があらわれ、炎症を起こしたり「痛がゆい」などの"ほてり感"を伴うことがあります。
湿疹・かぶれの原因には次のようなものが考えられます。
物理的刺激 | 紫外線、温熱、寒冷、乾燥 |
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化学的刺激 | 洗剤、薬物、化粧品 |
アレルゲン | 金属、花粉、ハウスダスト、植物(漆など)、虫、動物 |
体質的要因 | 乾燥肌、皮脂分泌異常、発汗異常、アレルギー体質 |
かぶれが何らかの物質が皮膚に接触することで起こるのに対し、じんましんは基礎疾患や種々の感染症、特定の食材や薬剤など、口に入れたり皮膚接触以外の原因から皮膚に症状が起こることが多いのが特徴です。ただし原因を特定できるじんましんは全体の1~3割ほどで、多くの場合、原因がはっきりわかっていません。
症状があらわれる部位も、皮膚の一部である場合や顔を含め全身のどの部位にも起こる可能性があり、たいてい数十分~1日以内で治まるのも特徴です。(短時間で治まらない場合や繰り返し症状があらわれる場合、症状が重い場合などは医療機関の受診をおすすめします。)
主なものは次の通りです。
このほか、汗の排出が阻害されて炎症や丘疹※1ができる「あせも」や、薬の副作用による「薬疹」などもあります。
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