「OTC医薬品」がよくわかる7つの質問

「薬局やドラッグストアで買う薬と、病院で処方される薬はどう違うの？」「薬とサプリメントはどう違うの？」など、日常的に使用している薬について、「実はよくわからない」と思っている方も多いのではないでしょうか。OTC医薬品を購入・利用するときに、知っておきたいポイントについてご紹介します。

OTC医薬品とは、病院で医師の診察を受けた上で処方してもらう「医療用医薬品」ではなく、薬局やドラッグストアなどで、自分で選んで買うことができる「一般用医薬品」と「要指導医薬品」のことで、一般的には市販薬とも呼ばれます。

OTC医薬品とは

「要指導医薬品」「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」
･･･なぜ分類されているの？

医薬品の販売については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律（以下薬機法）」より定められています。
OTC医薬品は、医師の処方なく薬局やドラッグストアなどで自ら選んで購入できる薬のため、対象となるOTC医薬品全てをより安全・適切に使用できるよう、服用上の注意度合いをランク付けして分類することで、薬剤師や医薬品登録販売者（登録販売者）などの専門家が、適切に情報提供できるようにしています。
まず注意度合いが高いものから、薬剤師のみが扱える「要指導医薬品」と「第1類医薬品」があり、続き医薬品登録販売者でも販売が行える「第2類医薬品」「第3類医薬品」に分類されます。
それぞれの分類によって、購入するときの対応者や説明のしかた、購入のしかた、注意点などが異なります。

• OTC医薬品の分類
• OTC医薬品の買い方

要指導医薬品は、なぜ1度に1個しか買えないの？

要指導医薬品は、使用する本人のみが購入することができ、購入する際には必ず薬剤師と対面して書面による説明を受けることが義務づけられています。薬剤師が直接、使う人の症状をこまかく聞き、そのときの使用者の症状に合った適切な薬をすすめることができるよう、要指導医薬品は必要最小限の量、つまり、原則として1人1包装単位（1箱、1びんなど）のみ購入することが定められています。
購入した医薬品を使用しても症状が改善されない場合は、薬剤師にその薬を使い続けて問題ないか、医療機関を受診すべきかなどを相談し、必要であれば早めに受診しましょう。

お店に製品がおいてあるのに、買えない時があるのはなぜ？

薬局やドラッグストアで販売されている医薬品の中には、営業時間内でも、買えない時もあります。カウンターのうしろなど、購入者の手が届かない場所に陳列されている要指導医薬品と第1類医薬品は、薬剤師のみが取り扱うことができる医薬品です。より安心・安全に医薬品を使用するために、購入の際には、薬剤師の説明を受けた上で購入することが義務づけられており、薬剤師がいない時には相談や購入ができません。
また、第2類・第3類医薬品であっても薬剤師・医薬品登録販売者（登録販売者）がいない時は購入できません。
購入したい医薬品がどの分類なのか、買い物にでかける前にあらかじめ、薬のパッケージや企業のウェブサイトなどで確認しておくとよいでしょう。また、お店によっては薬剤師・医薬品登録販売者（登録販売者）が滞在する時間（販売可能な時間）を掲示していることもあるため、確認しましょう。
医薬品を購入する際には、飲み合わせやアレルギーなどの注意・確認のため、薬剤師や医薬品登録販売者（登録販売者）に相談することがおすすめです。とくに、アレルギーのある人、持病がある人、日常的に使っている薬やサプリメントがある人、車などの運転をする人、妊娠・授乳中の人などは注意が必要なため、購入前にその旨を伝えて相談しましょう。

薬剤師・医薬品登録販売者～どんな薬のことが相談できるの？

食品と医薬品、似た用途のものなのになぜ違う場所に陳列されているの？

医療用医薬品、OTC医薬品、医薬部外品、食品は、病気を治す、症状を緩和する、症状を予防する、栄養を摂るなど、それぞれ役割が異なるものとされ、異なる場所に陳列することが薬機法で定められています。例えば、同じドリンク剤でも、医薬品に区分されているものと医薬部外品に区分されているものは別の場所や区切って置かれますし、医薬品に区分されるビタミン剤と食品に区分されるサプリメントを混在させて陳列することはできません 。
薬局やドラックストアなどが営業許可を得るための基準として、医薬品の置き場所が定められている場合もあるため、自由に変えることはできないのです。購入する側から見ると似ていると思うものでも、厳密に区別されており、薬を安全に使用するためには必要なルールといえます。
さらに、同じ医薬品であっても、要指導医薬品、第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品はそれぞれの区分ごとに分けて陳列しなければなりません。なかでも要指導医薬品と第1類医薬品は、購入者の手が届かない場所に陳列することが定められています。（ただし中身が空の「空箱」をパッケージの表示確認用に陳列している場合もあります。）

病院で処方される薬とどう違うの？

病院で処方される薬（医師・歯科医師の処方せんや指示により使われる医療用医薬品）と、OTC医薬品の違いを下の表に示します。医療用医薬品は、病院で医師の診察を受けた上で、その人の症状に適した種類・使用量を医師が処方するものです。一方、OTC医薬品は、薬局やドラッグストアで、薬剤師や医薬品登録販売者（登録販売者）などのアドバイスを受けた上で、購入する人が自らの判断で選ぶものです。
そのためOTC医薬品は、多くの人が幅広く使用することを前提として製造、承認、販売されます。安全性が高いとされる複数の有効成分を配合した薬（配合剤）が多く、医療用医薬品よりも一般的に含まれる成分量が少なく※、作用が穏やかです。
ただし、OTC医薬品だから副作用が起こらないということではありません。使用する際には説明書（添付文書）をよく読み、用法・用量を守って使用し、気になる症状がみられる場合は医師や薬剤師に相談しましょう。

• 同量のものもあります。

• 医療用医薬品とOTC医薬品では、同じ成分が配合されている薬でも、内容量が異なっていたり、認められている効能・効果が異なる場合があります。病院で処方されていた薬の代わりに、同じ成分を配合したOTC医薬品を自己判断で使わないようにしましょう。また病院で処方された医薬品を他人に譲渡することはできません。

健康食品やサプリメントとどう違うの？

薬機法では、医薬品（医薬部外品を含む）以外のすべての飲食物は「食品」に区分されています。健康食品やサプリメントは食品です。
OTC医薬品は、頭痛や胃もたれ、咳、熱などのつらい症状の緩和、肉体疲労時の栄養補給などを目的として使用するものです。一方、健康食品やサプリメントは、毎日の食生活を補うために使うものとされています。「医薬品」と「食品」では、摂取する目的が異なるのです。
健康食品には、国の制度により特定の機能表示ができる「保健機能食品（特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品）」と、それ以外の「いわゆる健康食品（機能表示が認められていないもの）」があります。ただし、保健機能食品であっても、あくまでも健康を維持・増進するためのもので、病気や体の不調を治すためのものではないことを理解しておきましょう。
薬局やドラッグストアで選ぶ際には表示をよく見て、医薬品か食品かを確認した上で、目的に合ったものを選びましょう。

薬用化粧品と化粧品はどう違うの？

一般的に化粧品と思われているものには2種類あり、有効成分が配合され症状の予防などを目的に作られる「医薬部外品」である「薬用化粧品」と、そうでない「化粧品」に分けられています。
　例えば、化粧水でいうと、「医薬部外品（薬用化粧品）」の場合、配合成分・基準量が定められており、厚生労働省の承認を経て、指定の効能・効果がうたえます。（保湿、殺菌、抗炎症、美白など）。
他方、「化粧品」の化粧水であれば、配合できる成分が「化粧品基準」として厚生労働省より定められており、その基準内で製造すれば個別の認可は必要ありませんが、配合成分は全て表示する必要があります。また「清潔・美化・皮膚を健やかに保つ」などの基本のスキンケアを目的※としています。

• 薬機法では化粧品とは、「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」をいいます。

化粧品は、医薬部外品と同じような「効果・効能」を表示することは認められず、使用方法の規定義務もありません。その一方で、配合成分にしばりが比較的少ない分、メーカー各社が独自の工夫をこらして新たな発想や使い心地の新商品を開発しやすいため、使う人は幅広い商品の中から自分に合ったものを選びやすいという側面があります