日本は災害国といわれますが、その環境におかれながら、日本人の防災意識は決して高いとはいえません。
災害時に自分で自分を守る“自助”は防災の起点です。特に健康面では、災害のときだけでなく、人は突然体調不良を起こすものです。そうしたときに限って、週末でかかりつけ医が休診のケースも少なくありません。災害時においては、病院も命にかかわる状態の方を優先したり、医師が救護に向かうこともあるので、治療を受けられるとは決して限りません。
いかなるときでも、自分で自分のからだを守れるように、防災に限らず常に最悪の事態を想定し、常備薬をきちんと用意し、管理することが重要です。
近年の便利な世の中では「必要な薬は必要なときにドラッグストアで買えばよい」と考え、救急箱をもたないケースもあるかもしれません。しかしこれからは、「今使う」ではなく「いざというときに使える」の発想で備えておく「常備薬」の考えがますます大切になるでしょう。
子どもが気になる症状を訴えたとき、まずは小児科を受診して医師に相談することが多いことでしょう。しかし、いざというとき・病院にすぐに行けない場合に備え、子どもの薬も、基本となる薬は揃えておくとよいでしょう。また、子どもが薬を飲む上で気にかけるポイント、基本の対処法を知っておきましょう。
普段オフィスワークで運動もあまりしない場合、切り傷・擦り傷の薬はあまり使う機会が無いかもしれません。ただし災害やトラブルが起こったときは誰しも怪我をすることもあります。
放っておくと二次感染など悪化する場合もあるので、消毒薬や化膿性の皮膚疾患に効果がある皮膚用薬を備え、基本の応急処置も知っておきましょう。古い刃物での切り傷は破傷風になるおそれもあるので、なるべく早く病院を受診しましょう。
いざ薬を使おうとしたときに使用期限が切れている、という経験はありませんか?日頃から定期的に使うものを入れ、ついでに開封済みの薬を処分したり、使用期限を確認しましょう。
薬は乳幼児の手の届かないところに保管しましょう。また、一戸建ての場合、高いところに置くことで浸水の被害から薬を守ることができます。
災害というと、避難所を思い浮かべる方も多いとは思いますが、実際は在宅避難のケースが多いです。避難所への移動は、自宅が崩壊あるいはその危険があるときや、ライフラインが断たれ孤立状態になるときなどです。さらにコロナ禍を背景に、現在は感染を防ぐためにも避難所は最低限の人数に留める必要があるため、避難所に入れないケースも起こりうるのです。
このことからも、ニューノーマル時代は、ますます自己防衛、セルフケア能力を高める備えが必要とされるでしょう。
避難や薬の保管について教えてくれたのは・・・国崎信江先生(危機管理教育研究所代表)
国崎先生が解説する避難の工夫。こちら(第一三共ヘルスケア ニュースレター)でもっと詳しく